消費者金融の取立ての真実。過去の事例と違法行為のまとめ

今回は、これまでにあった消費者金融の違法な取立ての事例をまとめて紹介していきます。

現在、借金の取り立て行為は貸金業法という法律で厳しく制限されていますが、実際には法律なんてお構いなしの強引な取り立てを行う業者はいまだに存在するのです。

たとえば、

  • 夜中に電話をしたり訪問したりする
  • 借主以外に借金の事実を知らせる
  • 借主の家族などの返済義務のない人に「代わりに返済するよう」迫る

これらの行為は完全に違法ですが、残念ながら正規の登録業者のなかにもこのような違法行為をはたらく業者が少なくありません。

そこで、具体的にどのようなことをされると違法なのか、借主としてどんな対応を取るべきなのかを元刑事が解説しましたので、借金の取り立てに悩んでいるときにぜひ読んでみてください。

ちなみに、今回は実際にあった事例をベースに解説していますが、他にもチェックリスト形式で違法行為をまとめていますので、こちらも一緒に読んでもらうと、さらに理解が深まると思います。

実際にあった!違法取り立ての事例と罰則

取り立て行為は、貸金業法第21条第1項「取立行為の規制」により厳しく取り締まられています。

これは、「借主が著しく不利益をこうむる取り立て」を禁止する条文です。

仮に、貸金業法で禁止されている取り立て行為をした場合、2年以下の懲役または300万円以下の罰金刑が科されます。

では、具体的にどんな取り立てが禁じられているのでしょうか。

実例をもとに解説していきましょう。

真夜中の取り立て

中小の貸金業者A社からの借金を滞納していた田中さん(仮名)は、連日かかってくる電話に恐怖を覚え、出ることもかけ直すこともできないでいました。

そして、滞納してから1週間が経つころ、深夜に田中さん宅の玄関チャイムが鳴ります。

「ピンポンピンポンピンポーン」

チャイムを無視していると、

「ドン!ドン!ドン!ドン!」

今度はドアをしつこく叩かれました。

近所迷惑になることをおそれた田中さんがドアを開けると、そこにはスーツを着たガラの悪い男が2人...。

男はドアを開けたとたん、大声で怒鳴りつけてきました。

「なぁ!あんたは借金ドロボーか?いつになったら返すんだ? 借りた金を返すのは常識だろうが!!!」

田中さんは勇気をふりしぼって反論しました。

「も、もう遅い時間ですし、近所迷惑になるので今日のところは帰っていただけませんか?」

しかし、男たちはこれに応じません。

「いや、借金を返してくれるまで帰らんぞ!」

そのまま玄関前に座り込んでタバコを吸い始めたのです。

その後、田中さんの家族が警察に通報したため、現場に到着した警察官が2人の男を確保しました。

違法取り立てのポイント

貸金業法により、午後9時から午前8時までの間に取り立てを行うことは禁止されています。

また、借主(今回の場合は田中さん)以外に借金の事実を知らせることも禁止されています。

今回、田中さんの自宅に来た男は玄関先で借金について大声で話していました。

この行為が、「借主以外に借金の事実を知らせる行為」にあたるのです。

さらに、家人が退去を求めたにも関わらず退去しない場合、刑法第130条「住居侵入」に規定されている不退去罪にも該当します。

不退去罪の場合、3年以下の懲役または10万円以下の罰金刑が科されます。

A社への罰則

田中さんの自宅に来た男2名はいずれも逮捕はされず、任意で警察署に同行し、取り調べを受けました。

その結果、貸金業法違反で書類送検され、刑事裁判でそれぞれ罰金30万円の判決が下されます(※1)

また、その後の捜査で、A社は取り立てだけでなく金利についても違法だったことが判明しました。

なんと、年利300%を超える違法な金利(※2)で貸付けを行っていたのです。

そのため、A社の代表は、貸金業法違反・出資法違反の罪で逮捕され、刑事裁判で懲役刑(執行猶予付き)の判決を受けました。

さらに、A社に対しては、行政処分としては最も重い全部業務停止命令(※3)が下されます。

こうして、田中さんがA社から取り立てを受けることはなくなりました(※4)

※1
田中さんの自宅に来た男2名の行動は不退去罪にも該当しますが、このときは貸金業法違反で起訴されることになりました。なぜなら、一つの行為が二つ以上の罪名にあたる場合(例、空き巣なら住居侵入と窃盗)、刑罰が重いほうの犯罪に吸収されて裁かれることが多いからです。また、今回の場合は、不退去罪よりも貸金業法違反がメインの犯罪であるとみなされたため、貸金業法違反で裁かれたのでしょう。

※2
お金を貸し出す際の上限金利は、出資法により、年利20%までと定められています。これに違反した場合、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金が科せられます。懲役と罰金、両方の罰則が科せられることもあります。

※3
行政処分には、業務改善命令、全部業務停止命令、一部業務停止命令などがあります。

※4
田中さんのケースでは、結果的にA社に返済しないまま話が終わっています。しかし、法律上は「A社への返済義務がなくなった」わけではありません。A社が田中さんに対して元金の返済を求める裁判を起こした場合、裁判所の判断次第で、田中さんに支払命令が下される可能性はじゅうぶんにあります。

勤務先や家族への取り立て

生活苦のため、電話帳広告で見つけた貸金業者B社から30万円を借りた鈴木さん(仮名)。

返済日に入金せずにいたら、すぐに鈴木さんの勤める会社に電話がかかってきました。

電話に出たのは会社の事務員です。

おかしな電話で、事務員が「どちらさまですか?」と尋ねても一向に名乗りません。

電話の主は「鈴木さんはいらっしゃいますか?」の一点張りです。

仕方がないので、事務員は名前を聞かずに鈴木さんに電話を取り次ぎました。

鈴木さんが電話にでると、相手がB社の取り立て担当者だとわかります。

鈴木さんはすぐにこう言いました。

「会社に電話してこないでください。困ります」

「あんたがちゃんと借金を返さないからだろ?」

「とにかく今は話せません」

鈴木さんは電話を切りましたが、B社の担当者はその後 何度も電話をかけてきました。

困った鈴木さんは、正直に上司へ相談することに。

鈴木さんの事情を理解した上司は、電話を取り次ぐ事務員に「相手が名乗らない場合は鈴木に電話を取り次がないように」と指示しました。

ところが、事務員が電話を取り次がないとわかったB社は、会社をおどすようなことを言い始めたのです。

「鈴木はウチから借金をして逃げ回っているんだぞ! そんな社員がいたらおたくの会社も無事じゃ済まないぞ!」

それでも無視を続けていると、今度はスーツ姿のガラの悪い男が、「鈴木さんはいますか?」と会社を訪ねてくるようになりました。

さらに、B社の取り立ては鈴木さんの実家や、離れて暮らしている兄弟にまでおよぶようになります。

「身内の借金を返すのは当然だろう?」などと言い、鈴木さんの借金を代わりに返すよう迫ったのです。

その後、耐えかねた鈴木さんは警察に相談。

警察官がB社の代表を呼び出し、「取り立て方法が違法にあたるので、今後も同様の行為があれば検挙する」と口頭で警告したところ、取り立て行為は止みました。

違法取り立てのポイント

先ほどの事例にもあったとおり、借主(今回の場合は鈴木さん)以外に借金の事実を知らせる行為は貸金業法で禁止されています。

今回の事例で、B社は鈴木さんの「勤務先」「実家」「兄弟」に借金のことを知らせています。

特に、勤務先へ知らせるのは悪質です

最悪の場合、借主が職場での信頼を失い、退職に追い込まれる可能性があるからです。

また、B社は鈴木さんが支払いを延滞したとたんに勤務先に連絡してきましたが、この行為にも問題があります。

貸金業法により、正当な理由がないのに、借主の自宅以外の場所(勤務先など)へ電話をかけたり、訪問したりすることは禁じられているからです。

「正当な理由」については法律で定義されていませんが、他の連絡先(携帯・自宅など)に連絡しても一切連絡がとれない場合は、勤務先への連絡が認められる場合が多いです。

さらにB社は、鈴木さんの親や兄弟など、法的に返済義務がない人に対しても取り立てを行いました(※5)

こちらも貸金業法で禁止されている行為です。

※5
借金の返済義務を負うのは借主と保証人のみです。たとえ家族でも返済義務を負うことはありません。

B社への罰則

結論からいうと、B社への罰則はありませんでした。

本来は刑事裁判にかけるべきなのですが、鈴木さんが被害届を出さず、捜査協力にも消極的だったため、事件化されなかったのです。

しかし、このままだと ほとぼりが冷めた頃に取り立てが再開される恐れがあるので、警察は鈴木さんに「弁護士へ相談するよう」指導しました。

そして、鈴木さんが依頼した弁護士の調査により、B社が年利300%を超える違法金利で貸付けを行っていたことがわかったのです。

そのため、弁護士はB社に下記のような通知を出しました。

  • 違法金利による貸付けなので借金自体無効である(※6)
  • 鈴木さんは債務整理をする予定である(※7)

すると、業者から「一切の債権を放棄する」との返答が。

鈴木さんは、以降 B社からの取り立てを受けることはありませんでした。

※6
違法金利で貸付けられた借金の返済義務については、裁判でさまざまな判決がでています。「そもそも違法なため返済義務はない」という判例もありますが、「金利は違法だが、元金は返済すべき」とした判例もありますので、注意してください。

※7
債務整理とは、合法的に借金を整理する手続き です(破産や任意整理などさまざまな種類がありますが、いずれも借主の返済負担を減らす目的で行われます)。ちなみに、債務整理を開始すると、本人もしくは弁護士等の代理人から貸主に、「債務整理の手続きを開始した」という通知を出すことになっています。そして、この通知を受けとった後に取り立て行為を行うことは、貸金業法で禁止されています。

出前や緊急通報などの嫌がらせ行為

中小の消費者金融C社から200万円を借入れ、支払いを滞納していた佐藤さん(仮名)は、毎日かかってくる取り立ての電話を無視し続けていました。

そして、返済が滞って1ヶ月が過ぎた頃、佐藤さんの自宅に思わぬ訪問者がやってきます。

「寿司屋の出前でーす!」

なんと、頼んでもいない寿司の出前が何十人分も届いたのです。

困った佐藤さんは、「頼んでいません」と伝えましたが、寿司屋のことをかわいそうに思い、数人前は引き取って代金を支払いました。

その翌日。

突然、佐藤さんの自宅の前にサイレンを鳴らした救急車が停まりました。

救急隊員に「どうされましたか?」とたずねられましたが、佐藤さんは救急車を呼んだ覚えはありません。

救急隊員によると、「急病だからすぐに来てくれ」という電話があり駆けつけたとのこと。

佐藤さんは救急隊員に謝り、その場は引き取ってもらうことになりました。

さらに翌日。

今度はサイレンを鳴らした消防車が佐藤さんの自宅前にやってきました。

消防隊員いわく「この近くで火災が発生した」という電話があり駆けつけたとのこと。

佐藤さんはまたも消防隊員に謝罪し、帰ってもらうことになりました。

こうして、連日の嫌がらせに困り果てた佐藤さんは警察へ相談。

後日、警察が消防署の協力を得て通報者の電話番号を割り出しました。

それは案の定、C社が使用している携帯電話の番号と一致したのです。

違法取り立てのポイント

貸金業法により、正当と認められない方法によって取り立てを行うことは禁止されています。

しかし、佐藤さんのケースには取り立て行為がありません。

業者が嫌がらせをしただけです。

この場合、貸金業法違反にはなりませんが、寿司屋や救急隊、消防隊に対する偽計業務妨害罪に該当します。

偽計業務妨害罪とは、文書や口頭でウソの情報を流すことによって相手をだまし、相手の業務を妨害すること。

偽計業務妨害罪の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

C社への罰則

寿司屋も救急隊も消防隊も被害届けを出さなかったので、C社は偽計業務妨害罪には問われませんでした。

しかし、捜査の過程でC社が無登録の貸金業者であることが判明(※8)

無登録で貸金業を営んでいた場合、5年以下の懲役、1000万円以下の罰金という非常に重い刑罰が科せられます。

結果的に、C社の代表は任意で書類送検され、裁判で懲役1年6ヶ月(執行猶予4年)、罰金300万円の刑罰を受けることになりました。

これにより業者も壊滅。

以降、佐藤さんがC社から嫌がらせされたり、取り立てられることもなくなりました(※9)

※8
貸金業を営むには、都道府県か国に届け出をして登録しなければなりません。「暴力団とは無関係である」「社内に貸金業務取扱主任者がいる」など、特定の基準を満たしていないと登録が認められないためです。

※9
鈴木さんの事例と同様、法律上は「C社への返済義務がなくなった」わけではありません。C社が佐藤さんに対して元金の返済を求める裁判を起こした場合、裁判所の判断次第で、佐藤さんに支払命令が下される可能性があります。

悩むくらいなら警察に相談しよう

違法な取り立てを受けていて、それが日常生活に支障きたすほどなら迷わず警察に相談しましょう。

違法であれば警察が事件として対応しますし、場合によっては弁護士への依頼や裁判所への手続きなど、必要な対策についてもアドバイスします。

警察に連絡して、あなた(借主)が不利になることは一切ありません。

違法行為を働いているのは業者で、あなたに非はないのですから。

ちなみに、警察に相談に行くときのポイントや注意点についてはこちらで解説しています。

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