借金の電話取立てはこう行われる!元バイトが語る現場の実態【体験談】

クレジットカードでキャッシングを利用したのに、支払日を過ぎても返済ができなかったらどうなるのでしょうか?

怖いお兄さんから電話がかかってきたり、チンピラ風の人が家に押しかけてきたり、本当にそんなドラマのようなことが起こるのでしょうか?

今回は、クレジットカード会社で実際に支払いの催促を行なっていたという方に話を伺い、取り立ての実態について調査してみようと思います。

体験者の情報

名前:大木 紘嗣(仮名)
このアルバイトをしていた時期:1991年~1992年
アルバイトをしていた会社:GCカード
時給:900円

催促オペレーターの仕事とは?

私は今から20年ほど前に、カード会社で支払いの催促をするアルバイトをしていました。支払日を過ぎても返済がないお客様に、直接電話をかけたり、手紙を出したりする仕事です。

当時はまだ携帯電話が普及しておらず、現在のシステムと少し違うかもしれませんが、基本的な仕事内容は同じだと思います。

催促される側からすれば、気持ちのいいものではないと思いますが、私たちはごく普通の仕事として債務者のみなさんと接していました。

それでは、カード会社で催促を行っている担当部署の裏側について、私の体験をもとにお話したいと思います。

私が催促オペレーターになった理由

私は18歳から22歳まで、フリーターをしていて、この催促オペレーターの仕事を始めたのは1991年21歳の頃のことです。

フロム・エーで「遅延されたお客様にお電話を掛けるお仕事 時給900円」という求人を見つけ、時給の高さにも興味を抱いて、応募しました。

私はスーパーやCDショップで販売の仕事をした経験があり、接客や電話応対を身につけていたので、採用されたのだと思います。

会社の雰囲気

仕事をした会社は西新宿の高層ビル群、エレベーターがガラス張りになっているNSビル内にある、GCカードです。

フロアーは広く、一人一台机とパソコンが与えられていますが、男性はネクタイ着用です。

私が配属されたのは債務課という1課から3課まである部署の1課でした。

1課は締め日までの催促を行う担当、2課は締め日が過ぎてからも支払いがない債務者の担当で、どちらも社員がおらず、私を含めたバイトがほとんどです。

ちなみに1課には20歳以上の大学生もいました。3課は社員のみで、実際に取り立てに行く係でした。

債務課をまとめているのは課長でしたが、課長とはほとんど接点がなく、私の直接の上司にあたるのは1課をまとめていた係長です。

研修はなく、係長やバイトの先輩の実際のやり取りを見ながら、債務者にどう応対するかなどの指導を受け、半月ほどかけて覚えるのです。

初めて電話を掛ける時は緊張しましたが、すぐに慣れました。

延滞債務者に連絡を入れる流れ

債務者に催促するのは、次のような流れです。

まず締め日、引き落とし日の翌日に、バイトが触ってはいけないと教えられているパソコンのプリンターから、債務者の氏名が記載された紙が打ち出されてきます。

そこには滞納している人の氏名はもちろん、会社名・住所・電話番号が書かれているのです。

その情報を係長がバイトの人数分に分け、すぐに電話をかけることになります。

アルバイトは13名いましたから、ランダムに分けられることが多く、以前に担当していた人がたまたま、同じ債務者を担当することもあります。「あ、またこのお客さん遅延している」と紙を見ながら声に出す人もいました。

膨大な量で、月によっては1人100件ほど担当することもあります。

この割り振られた債務者たちに、支払いをしてもらうまで繰り返し連絡を入れていくのです。

まず用紙と、パソコンに入力されているこれまでの返済履歴とを見比べて、これまでに延滞のない債務者に電話をかけます。

当時は携帯が普及していない時代ですので、かけるのは自宅か会社です。

「引き落としが確認できませんでしたので、弊社の口座まで入金お願いします。入金が済みましたらご連絡下さい」と伝えます。

うっかり忘れていたという人が多く、だいたいの人が約束の期日に入金して、その後連絡をくれます。

しかし連絡がない場合は、銀行の普通預金課に電話を掛けてその人から入金があったかどうかを確認しなければなりません。

GCカードの通帳を見れば分かることですが、それはできませんでした。バイトに大切な通帳を渡すわけがありませんから。

入金を無事確認すると、台帳からパソコンに入力し、台帳から債務者1名の用紙を取り外し、係長に手渡して終了でした。

会社や自宅にどうやって電話するのか?

債務者の会社に連絡する場合は、「いつもお世話になっております。森下と申しますが、○○さんはいらっしゃいますか?」と言い、カード会社の名前は名乗りません

相手が出たところで、初めて「GCカードの森下と申しますが」と会話を進めていくのです。

入金の連絡がある時も、債務者から「森下さんはいらっしゃいますか?」と担当者名でかかってきます。私達には個人名で連絡する決まりがあり、偽名は使ってはいけないことになっていました。

また債務者の自宅へかける場合は、「森下と申しますが、○○さんをお願いします」となり、やはりカード会社名は言いません。

学生さんの場合は、「友人の林と申しますが」と言うケースが多いです。

電話をかける頻度

大体の人はうっかり忘れなので、「電話を掛けるのが悪いな」と思いますし、掛けてもすぐに入金してくれます。

しかしすぐに支払ってくれない「遅延債務者」に対しては、「電話をかけるのが悪いな」という思いはなくなり、しつこくに電話を入れるようになるのです。

しつこくかける場合、電話の頻度は、平均すれば債務者1人あたり午前、午後、夕方の1日3回です。

またこの人は明らかに遅れると分かった場合は、そちらを優先してかけます。

多い時には1日6回は掛けることもありました。それは連絡が取れようが取れまいが別です。

ただし余り頻繁に電話をかけて催促しすぎると、たまに係に苦情の連絡が行って、注意されることもありました。

借りてもらわないと会社が成り立たないわけですから仕方ありません。そういう時は矛盾を感じながらも、しつこく電話をしなければならない理由を説明します。

電話で怒鳴ることはあるか?

連絡が取れない債務者もいて、イライラもすることもありますが、会社から「怒鳴ってもいい」と言う指導はありませんでした。

上手な言い方や対応方法は、バイトの先輩や係長から教わったり、他のバイトの話し方を参考にしたりしました。

ちなみに怒鳴るのは2課の役目ですが、恐喝はありません。犯罪行為ですから。

1課の場合は「返済はもちろんしてほしいけれども、今後も借入をしてほしい」とお願いすることも大切な仕事でした。

ですから初期段階の場合は、「ご入金、ありがとうございます。またのご利用をお待ち申しあげております」と言うのです。

手紙で催促も

携帯電話がない時代ですから、中には自宅に電話がないなど、電話連絡ができない債務者もいました。

このようなお客さんには、3日ほど経っても、入金が確認されない場合に手紙を出します。

手紙は「○○の期日にご入金お願い申し上げます、○○様のお支払い金額と利子は以下の通りです。ご入金されましたらご連絡下さい」といった内容です。

こうした人宛に、手紙を書くバイトが2課に2名いました。この係は手紙を出すだけで、債務者とのやりとりはしません。

ただしおよそ100件の遅延があるので大忙しで、私たちが一日中電話を掛けるのと同じく、一日中ペンを走らせていました。

しかし、電話でも連絡が全く取れず、手紙も戻ってこない場合は、1課の私たちが電話会社に問い合わせます。「○○さんに電話かけているんですが、繋がらないので調べてください」と聞くのです。

居留守を使っているのは分かりますが、中には線を外している人もいます。

こうなると、1課が速達で手紙を出します。連絡が取れない債務者に、いつ手紙を出すかは決められていませんでしたが、3日に1通が基本です。

返信も来ますが、それはごくわずかで、手紙を見て「引き落とし日を忘れていた」と電話で連絡してくることが多く、ほとんどは「これから入金しますと」言ってきました。

手紙で返信が来る場合は、「○○日に入金しました、遅れて申し訳ありません」などと書かれていました。あるいは「現在お金がないので、待っていただけませんか」とも書いてくることもあります。

しかし手紙を出す時点で、すでに電話連絡がつかなかった人がほとんどなので、書かれている内容を、うのみにすることはできませんでした。

半月過ぎると会社名を名乗るように

半月過ぎた頃から、会社や自宅にかける際にも、カード会社名を名乗るようになります。

日に3回電話して、そのたびに「森下です」と名乗るのもおかしな話ですし、電話に出られた方も、「どういうご関係ですか?」と聞いてくる時もあるからです。

会社名を名乗って迷惑だ、と言われることは、この時点ではありません。

この頃の滞納者の言い訳は、結局「お金がない」です。ですから、「利息分だけでも」と説得すると、「利息も払えないです」となり、話が長くなる傾向にありました。

特に長話になりやすいのが、主婦やお年を召した方です。

「事故や葬式など急な出費で払えない」と言われたり、旦那さんがキャッシングしていたことを知ってショックを受け、中にはグチを聞かされることもあります。

債務者に連絡していい時間帯は、9時から6時までと決まっていましたが、私は時間を延長しても長く話を聞く方でした。

ただし余りにも長話の場合は、手の空いているバイト仲間に手を挙げます。すると察して内線を掛けてくれて「あ、すみません。内線が入ったんで切らせていただきます」と受話器を置きました。

締め日近くの駆け引き

締め日が近づいた頃は、債務者の件数も少なくなっていますから、少し暇になり、バイト同士で、自分が手紙を書くから、そっちは電話して、と言うやり取りもありました。

担当を変えて電話すると債務者が驚いて、それまでなあなあだった態度が一変し、入金されることもありました。

特に女性のアルバイトは、債務者になめられてしまうこともありました。

また催促の方法は担当者によってやり方が違いますし、債務者の態度や住所によっても変わります。

例えば「入金しました」と昼に連絡があり、翌日に銀行に確認すると、入金されていないことがありました。私はこんな時「嘘をつきましたね」と言って、相手を追い詰めます。

そしてさらに「この日に入金すると約束して連絡もしてくれたのに、どうして入金されていないんですか、嘘をつくのもいい加減にして下さいよ」と詰め寄ります。

もちろん怒鳴りはしませんが、上から目線で言うのです。すると相手が折れて、素直に返済してくれることもありました。

また催促を行うバイトの成績が、月半ばごろに、紙に記して貼り出されます。営業のように棒グラフになっていて、1件入金があると、赤線で引かれるものです。

高ければ高いほど、債務者との交渉が上手いと言うことになりますが、実際はたまたま債務者が約束通りに支払ってくれたというだけでした。

締め日ギリギリまで催促

締め日まであと1週間となると、残りは5件くらいになり、その催促に追われます。

この数件の催促の電話を、最後までしつこく行うのです。

どのクレジット会社でも、連絡していい時間帯が決められているのですが、半月過ぎると、週に2回残業日があって、6時過ぎに連絡することもありました。

本当はいけないのですが、残業が9時までなので、何度も電話をかけます。

電話の線を外していた債務者にやっと繋がったと思えば、「お金がないので払えません、何とかしますから、待って下さい」と泣き落しする人もいました。

こういう人はたいてい他でも複数の借金を抱えています。

仕方なく「利息だけでも支払って下さい」と言うのですが、電話の向こうからすすり泣きが聞こえてきて、何とも切ない気持になります。

私たちは毎月延滞する延滞債務者のことを、「常連さん」と呼んでいました。

「あーあ、このお客さん、常連さんの仲間になっちゃったよ」と、バイト同士で話すこともありました。

この常連さんの担当になると、本当に大変でした。ただし過去にどんなやりとりをしたかはパソコンに入力してあるので、その履歴を参考したり、担当をしたバイト仲間に実際のやりとりについて聞くこともありました。

債務者のお流れ

締め日は指定の入金日の3日前で、この締め日を過ぎても支払いができない債務者は、1課ではお流れになり、担当が変わって2課の役割になります。

2課は凄いですよ。借金の取り立てみたいな感じで、「何度も払えって言ってるだろうが。何で払えないんだよ」と怒鳴る人もいました。

この人達もバイトなのですが、言葉遣いが荒くなくても、基本、強気の態度です。そうじゃないと回収できないんでしょう。1課でさえ、手を焼く債務者なんですから。

とは言え、自分が担当していた債務者ですので、心配になります。今まで延滞したことのない人が2課にお流れすると、責任感を覚えます。

1課にいる間に、何とかできなかったのだろうかと。しかし、そんなことを考えている間に、また、次の引き落とし日が来て忘れてしまいます。

ちなみに2課でも支払われない場合は、3課に引き継がれるのですが、彼らは実際に取り立てに行きます。

3課は5名ほどの社員のみで、私たち1課と全く接点はなく、同じフロアーにいても独立した課でした。

債務課の雰囲気

1課では係長を中心に飲み会がよくあり、時には2課と合同で行われることもありました。そしてその時に、2課にお流れした債務者のその後の話を聞くこともあったのです。

またバイト同士は仲が良く、人間関係で悩むことはありませんでした。

辞めていった人とも交流があり、みんなで飲むこともありました。また、係長が時々昼食に誘ってくれて、ごちそうになったこともあります。

ただしこのアルバイトは本当大変でした。タバコは席で吸えましたが、ヘビースモーカーでないのに、勤務中は1箱はなくなってしまったほどです。

催促オペレーターをして思ったこと

私がこの仕事で得た教訓は、「お金は借りない」ということです。

返済に苦しむ人達と接して、「ローンを組むならともかく、何でキャッシングするのだろう」と思いました。稼いだ給料の中でやりくりすればいいのにと。

ですから営業の方から、「カードに加入してほしい」とバイト全員に言われた時には「冗談じゃない」と思いました。さらにキャンペーン時には、「知り合いにカード加入を勧めてほしい」と言われたこともあります。

もちろん仕事上の義務ではなかったので、断りましたが...。

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