生活福祉資金貸付制度の基本。貸付条件、断られる理由、難易度、注意点

低金利でお金を借りられる生活福祉制度とは?

「生活福祉資金貸付制度」という制度をご存知ですか?

生活福祉資金貸付制度とは、

収入が少ない世帯を対象に国が金利ゼロ、ないしは低金利でお金を貸す制度です。

銀行や消費者金融などから借りるよりもはるかにおトクですが、この制度は、その分かりにくさと宣伝不足のため、あまり知られていません。

「国がお金を貸してくれるの?」
「いくら貸してくれるの?」
「どのくらいの金利で貸してくれるの?」
「貸付を受けるための条件は?」

今回は上記のようなことを中心に、この制度を分かりやすくまとめてみました。

もちろん、誰でも利用できるわけではありません。

利用には、一定の条件や審査、そして手続きが必要です。

ですから、その条件や審査についても社会福祉協議会の元相談員へ独自インタビューを行い、徹底的に調べました。

あなたの生活の大きな助けになるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

※今回の記事中で紹介している、生活福祉資金貸付制度の基本的な情報は、すべて平成28年度の東京都の情報です。自治体によっては内容が異なる場合があるので、注意してください。

今回お話をうかがった方は...

Aさん:関東の社会福祉協議会の元職員(平成28年まで勤務)
Bさん:九州の社会福祉協議会の元職員(平成23年まで勤務)
Cさん:関西の社会福祉協議会の元職員(平成23年まで勤務)

生活福祉資金貸付制度とは?

生活福祉資金貸付制度福祉貸付と呼びます)とは、自治体が一定の条件を満たす人にお金を貸付ける制度です。

窓口は市区町村の社会福祉協議会(※1)が担当しています。

福祉貸付の主な特徴を下記にまとめました。

利子(利率) 連帯保証人を立てれば無利子
(連帯保証人なしでも1.5%)
審査の基準 かなり厳しい
貸付額 数万円から最大580万円(内容により異なる)
借入れまでに
必要な期間
最低1ヶ月

福祉貸付の最大の特徴は、無利子でお金を借りられる点です。

※1
社会福祉協議会は、福祉やボランティアの活動支援を行う機関で、各都道府県・市町村に設置されています。半官半民組織なので、運営資金の多くは税金でまかなわれています。生活保護や福祉貸付の窓口でもあります。

福祉貸付の種類

申請者の状況に合わせて、大きく3つの種類があります。

名称 主な利用目的 どんな人が利用できる?
総合支援資金 生活再建のための資金 収入がなく、家賃も払えない状態。
まずは生活を立て直したい
福祉資金 一時的に必要な生活費や資金 やむをえない理由によりまとまったお金が必要になったが、自らの収入ではとうていまかなえない
教育支援資金 高校、大学、専門学校に通うための資金 進学のための資金が必要だが、自らの収入ではとうていまかなえない

※他に「不動産担保型生活資金」という仕組みもありますが、こちらは担保用の不動産が必要なので、今回は割愛します。

この種類によって、借入れ可能な金額、必要書類、申請方法などが異なるのです。

どんな時にいくら借りられるの?

借入れ可能な金額は、種類によって異なります。

総合支援資金の場合

総合支援資金は、収入がなく、家賃も払えない状態の人に、生活立て直しのための資金を貸出す制度です。

下記の3種類に分かれています。

資金の名称 利用目的 貸付額(限度額)
生活支援費 生活再建までの間に必要な生活費用
  • 単身世帯の場合、月15万円以内を分割で貸付け(3ヶ月~最大1年)
  • 2人以上の世帯の場合、月20万円以内を分割で貸付け(3ヶ月~最大1年)
住宅入居費 敷金、礼金など住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用 40万円以内を一括
一時生活再建費 生活を再建するために一時的に必要な費用、なおかつ、通常の生活費でまかなうことが困難な費用
例)
  • 就職・転職を前提とした技能習得のための経費
  • 滞納している公共料金の立て替え費用
  • 債務整理をするために必要な経費
60万円以内を一括

引用元:厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/kashitsukejoken.html
2016/11/15アクセス

このうち、住宅入居費と一時生活再建費はオプションです。

生活支援費を利用後、それでもお金が足りない場合にしか申請できません。

福祉資金の場合

福祉資金は、やむをえない理由によりまとまったお金が必要な人(なおかつ自分で資金をまかなえない人)にお金を貸付ける制度です。

どうしてもお金を必要とする理由がないと、福祉資金を利用することはできません。

福祉資金で借入れできるのは、下の表の「利用目的」で挙げられているような資金です。

また、「どのような目的なら認められやすいのか・認められにくいのか」について、社会福祉協議会の元職員に聞いてみました。

そちらの内容も表にまとめています。

※下の表は右にスクロールすることができます。

資金の
名称
福祉費
緊急
小口
資金
利用目的 認められやすい目的(例) 認められにくい目的(例) 貸付額(限度額)
日常生活上、一時的に必要な経費
  • 年金や健康保険料の未納分の支払い(一時的なもの)
  • 食費
  • ギャンブル資金
  • ローンの返済
50万円以内を一括
出産・葬祭に必要な経費
  • 出産時の入院費用
  • 乳児の衣類やオムツの費用
  • 自宅での葬式代
  • 家族の葬式に参列するための交通費
  • 七五三の費用
  • 結婚式、披露宴費用
  • ホールでの葬式代
  • 香典代、戒名代
50万円以内を一括
住居の移転等に必要な経費 (どうしても引越しが必要な時の)引越し代
  • 不必要な引越し代
  • 家具購入代
50万円以内を一括
住宅の増改築、補修等に必要な
経費
現在の住宅では不自由な生活を強いられており、「改築は必要」と認められた場合
  • 耐震工事の費用
  • 不急不要な工事費用
  • 庭の手入れ費用
250万円以内を一括
ケガや病気の療養に必要な経費
  • 通院の交通費
  • 治療費
  • 休職中の生活費
  170万円以内を一括
介護サービス、障害者サービス等
を受けるのに必要な経費
  • 施設の入所費
  • 介護
  • 介助のサービス費
  • 入所寄付金(寄付を必要としない施設に入所する場合)
170万円以内を一括
災害を受けたことにより臨時に
必要となる経費
「被災証明書」「罹災証明書」を提出した場合 「被災証明書」「罹災証明書」がない場合 150万円以内を一括
就職のために必要な経費
  • 就職活動のために必要なもの(スーツや靴など)の代金
  • 交通費
  • 化粧品代
  • スマートフォン代
50万円以内を一括
生業を営むために必要な経費
  • 必要不可欠な備品代
  • 車のリース代(業種による)
開店祝いの花輪代 280万円以内を一括
技能習得に必要な経費
  • 資格取得の受験費用
  • 交通費
  • 技能習得中の生活費
必要性が低い資格の取得費用 技能習得期間によって異なる。
6ヶ月程度:130万円
1年程度:220万円
2年程度:400万円
3年程度:580万円
- 「このままでは餓死してしまう」
「家がなくなってしまう」
など、緊急性が高い場合
緊急性が低いと判断された場合 10万円以内を一括

※「認められやすい目的」「認められにくい目的」については、自治体によって判断が異なります。

なお、すでに購入、発注、着工、支払済みの経費は、いずれも福祉資金の貸付け対象になりません。

社会福祉協議会の元職員Cさん

利用目的にあてはまっていても、簡単に貸付けることはできません。他に方法が見当たらず、やむを得ない事情がある場合だけ貸付け対象になります。たとえば「家にエアコンがないから、エアコンの購入代金を貸してほしい」という申し出があった場合、「リサイクルショップで購入すればいいのでは?」などの提案をします。

教育支援資金の場合

教育支援資金は、教育費を必要としている世帯のための貸付制度です。

教育費目的でなければ利用できません。

こちらも「認められやすい目的・認められにくい目的」について、社会福祉協議会の元職員に聞いてみました。

※下の表は右にスクロールすることができます。

資金の
名称
教育
支援費
就学
支度費
利用目的 認められやすい目的(例) 認められにくい目的(例) 貸付額(限度額)
高校、大学、高等専門学校等の授業料
(※2)
  • 高校、大学、高等専門学校等の授業料
  • 施設費など学業継続の費用
  • 塾の費用
  • 習い事の費用
  • 部活費用
  • 家庭教師代
高校:月3.5万円以内を分割で貸付け
高専:月6万円以内を分割で貸付け
短大:月6万円以内を分割で貸付け
大学:月6.5万円以内を分割で貸付け(※3)
高校、大学、高等専門学校等の入学時
に必要な準備費用(※2)
  • 入学金
  • 教科書代
  • 制服代
  • 参考書代
  • 予備校の費用
50万円以内を一括

※2 日本学生支援機構などの奨学金を受けられなかった場合のみ
※3 各上限額の1.5倍まで借入れ可能

社会福祉協議会の元職員Cさん

まずは日本学生支援機構等の奨学金を優先していただきます。それらがダメだった場合のみ、貸付けを検討します。

福祉貸付を受けられるのはどんな人?

ここからは、福祉貸付を受けるための条件を説明していきます。

総合支援資金・福祉資金・教育支援資金に共通する条件

総合支援資金・福祉資金・教育支援資金のいずれかに申込むには、下記の条件をすべて満たさないとなりません。

  • 低所得世帯
  • 他の制度を利用できない
  • 返済の見込みがある
  • 福祉貸付を申込む都道府県に住んでいる
  • 福祉貸付の連帯保証人になっていない

それぞれの条件について説明していきましょう。

低所得世帯

低所得世帯とは、下記に示した平均月収以下の世帯を指します。

世帯人員 1人 2人 3人 4人 5人
平均月収 19万1,000円 27万2,000円 33万5,000円 38万5,000円 42万5,000円

ただし、総合支援資金に申込む場合は世帯収入なしでもOKですが、福祉資金・教育支援資金に申込む場合は収入がないと申込みできません。

平均月収とは?

平均所得=世帯の所得-生活に必要な支出(定期的な支出)

となります。

「生活に必要な支出」とは、たとえば、

  • 住宅ローンや家賃
  • 食費
  • 医療費
  • 光熱費
  • 電化製品(生活に必須のもの)
  • 子どもへの仕送り

このようなものが世帯の所得から控除されるのです。

社会福祉協議会の元職員Cさん

マイカーローンの返済や携帯電話の料金が控除されるかは、ケースバイケースです。どうしても必要なものと判断されれば控除されるでしょう。しかし、化粧品や衣類、無担保ローン(カードローン・キャッシング等)の返済は控除されません。

また、世帯所得から生活に必要な支出を控除してもらうためには、その分のレシートを集めて、申請しなければなりません。

社会福祉協議会の元職員Bさん

レシートや明細書がないと、控除されないでしょう。「生活費にOO万円かかる」と言われても、それだけじゃ信じられませんからね。実はギャンブルに使っている可能性もありますし。

他の制度を利用できない

下記のような公的な制度を利用できる場合は、福祉貸付より優先されます。

制度名 概要 申請先
生活保護 貧しく生活が苦しい家庭に対し、必要最低限な生活を保障する制度 市区町村の福祉課・福祉事務所
失業保険(雇用保険の基本手当) 失業者に一定のお金を支給する制度 ハローワーク
傷病手当金 病気やケガで会社を休む人に対し、一定の手当金を支給する制度 加入している保険の窓口
高額療養費制度 ひと月に支払った医療費が一定額を超えた場合、超えた分を返還してもらえる 加入している保険の窓口
住宅支援給付 失業者向けの家賃補助制度 市区町村の福祉課・福祉事務所
奨学金 経済的な理由で進学が難しい学生に、無利息・もしくは低利息で学費を貸し出す制度
  • 日本学生支援機構
  • 奨学金制度がある学校法人
母子寡婦福祉資金 母子家庭や父子家庭に、無利息・もしくは低利息でお金を貸し出す制度 市区町村の福祉課・福祉事務所

上記のような制度を利用できる場合は、まずそちらを優先して利用するよう うながされます。

たとえば、失業保険の給付を受けられる失業者が、給付を受けず福祉貸付に申込みをした場合、社会福祉協議会の職員に「まずハローワークで失業保険の手続きをしてください」と言われるでしょう。

ただし、なかには福祉貸付と他の制度を併用できるケースもあります。

社会福祉協議会の元職員Bさん

他の制度と併用して、福祉貸付を利用できるケースもありました。たとえば、高額療養費制度の場合、お金が戻ってくるまでに時間がかかるので、その間のつなぎ資金として、福祉貸付を利用した方もいましたね。

返済できる見込みがある

福祉貸付は、返済の見込みのある世帯でないと利用できません。

社会福祉協議会の職員が、「健康か」「仕事に就けそうか(仕事をしているか)」「資格を持っているか」「やる気があるか」などのことから「返済できそうか」を判断します。

社会福祉協議会の元職員Bさん

申請者が病気を抱えていて働けない場合は、「返せる見込みがない」と判断します。この場合、まず生活保護などを案内することになるでしょう。

また、ハローワークで職業訓練を受けている場合、その時点では「返せる見込みがない」と判断されてしまいますので、注意してください。

福祉貸付を申込む都道府県に住んでいる

福祉貸付は、住民票がある都道府県でしか申込みできません。

また、住民票がある都道府県に住んでいないと申込みできません。

たとえば、「東京都に住民票があるが、現在は大阪府に住んでいる」という場合、東京でも大阪でも申請できないことになります。

この場合、大阪に住民票を移したうえで、大阪で申請する必要があります。

ただ、総合支援資金の場合は、現在住居がなくても、(住民票がある都道府県内に)住居が確保できる見込みならば、申請可能です。

福祉貸付の連帯保証人になっていない

すでに福祉貸付の連帯保証人(第三者保証人)になっている場合は申込みできません。

たとえば、Dさんの世帯が福祉貸付を利用していて、別世帯のEさんがDさんの福祉貸付の連帯保証人になっている場合、Eさんの世帯は福祉貸付を利用することができないのです。

総合支援資金を利用する場合に必要な条件

総合支援資を利用する場合は、共通の条件に加えて下記の条件を満たさなければなりません。

  • かつては仕事をしていたが、現在は失業している
  • 申請時の年齢が65歳未満
  • 自営業・会社経営者以外
  • 生活保護を受けていない
  • 公的年金を受給していない

それぞれについて説明していきましょう。

かつては仕事をしていたが、現在は失業している

具体的には、下記の条件をすべて満たす必要があります。

  • 今現在、失業していて収入がない
  • 失業してから2年以内
  • かつては自分で働いて生計を立てていた(同じ仕事で、少なくとも6ヶ月以上)

申請時の年齢が65歳未満

申請者の年齢が65歳未満である必要があります。

申請者が60歳以上の場合は、下記の条件をすべて満たす必要があります。

  • 1年以内に仕事をしていた
  • 新たな仕事に就職する意欲・能力がある
  • 総合支援資金の生活支援費の初回貸付を、3ヶ月以内に返済できる見込みがある

自営業・会社経営者以外

申請者が自営業、もしくは会社経営者の場合は申込みできません。

総合支援資金に申込後、自営業を営まないことも必須条件です。

生活保護を受けていない・公的年金を受給していない

すでに生活保護を受けている人や、公的年金を受給している人は申込みできません。

こんな場合でも借りられるの?

すでに借金を抱えている世帯や、生活保護を受けている世帯でも貸付けを受けられるのでしょうか。

借金がある場合は?

借金を抱えていても、福祉貸付を受けることはできます。

ただし、借金の借換え目的で貸付けを受けることはできません。

また、「福祉貸付の返済のために生活が苦しくなる」と判断されると、申込みを断られます。

たとえば東京都の場合、多額の借金があり、なおかつ返済が滞っている場合は申込みできません。

社会福祉協議会の元職員Bさん

借金の金額は、申請者の自己申告です。通帳など月々の返済額が分かる資料を提出していただきます。申請者の多くは平均100~200万円の借金がありましたね。

多額の借金がある場合、債務整理をすすめられる

多額の借金を抱えていて、なおかつ返済困難な場合は、まず債務整理を行うように社会福祉協議会から勧められるでしょう(※4)

債務整理とは、法律に基づき借金を減らすことのできる制度です。

債務整理を行う場合、一般的に弁護士や司法書士に手続きや交渉を依頼することになります。

その資金(弁護士費用など)を福祉貸付で借入れることもできます(※5)

ただし、債務整理中は福祉貸付の福祉資金・教育支援資金に申込めない場合もあるので、注意してください。

※4
社会福祉協議会は法テラスの利用を勧めるでしょう。法テラスは、法律的な相談を受け付けている公的機関で、日本全国に設置されています。収入などの一定条件を満たせば、弁護士などの専門家に無料で相談することもできます。

※5
福祉貸付の総合支援資金のうち、「一時生活再建費」なら、債務整理のための資金を借入れることができます。

生活保護を受けている世帯は?

福祉資金・教育支援資金を利用する場合、「生活保護を受けている」というだけで貸付けの対象から外れることはありません(総合支援資金の場合は対象から外れます)。

ただし、生活保護世帯の収入でも返済できる金額しか借りられないので、自ずと貸付金額は少なくなります。

社会福祉協議会の元職員Bさん

生活保護世帯への貸付額は10万円以内が多かったです。

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