失業保険の支給金額、受給資格、申請方法・手順、計算方法、注意点

失業したら、まず心配なのはお金のことですよね。

じゅうぶんな貯金があったり、助けてくれる人がいればよいのですが、ほとんどの方はそうではないでしょう。

日々の生活費にすら困ってしまうかもしれません。

そこで、失業者が安心して次の仕事を探せるよう、一定のお金を支給する仕組みが失業保険です。

だれでも一度は聞いたことがあると思いますが、その内実は非常に複雑です。

給付を受けられる期間や金額は、離職理由や在職時の収入によってかなり変わってきます。

また、失業者なら誰でももらえるわけではなく、受給資格があります。

今回は、そんな複雑な失業保険についてできるだけわかりやすくまとめてみました。

「気付かないうちにもらい損なっていた!」なんてことがないよう、ぜひご一読ください。

失業保険って何?いくらもらえるの?

  • 目次
  • 失業保険は正式名称じゃない!?正しくは「基本手当」
  • 給付を受けるための条件
  • 基本手当はいくらもらえるの?
  • 給付の受け方と手順
  • あなたは本当に「一般の離職者」?

失業保険は正式名称じゃない!?正しくは「基本手当」

一般的に失業保険として広く知られていますが、実はこれ、正式名称ではありません。

いわゆる失業保険は、雇用保険法にある基本手当のことを指します。

かつて、失業保険法という法律がありました。

しかし、昭和50年に現在の雇用保険法が施行されたため、廃止されました。

失業保険も名称が変わり、基本手当となりましたが、「失業者に支給される」という性格は変わらないため、失業保険という古い呼び名だけが残ってしまったのです。

給付を受けるための条件

失業保険の基本手当は誰でも支給されるものでしょうか?

ここで基本手当を受給するための条件について説明します。

当然ですが、まず雇用保険に入っていた方でないと受給できません。

また、基本手当は失業者が次の仕事を見つけるまでの間を支援するものです。

つまり、就職を希望していることが大前提です。

すぐに働く気がない、働く気はあるけれど病気などで働ける状態にない方は、受給資格がありません(受給を先延ばしにしてもらうことはできます。詳しくは後述)。

そして、一般の離職者の場合は、離職日より前の2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上必要となります。

また、特定受給資格者および特定理由離職者の場合は、離職日より前の1年間に、被保険者期間が通算6ヶ月以上必要となります。

特定受給資格者・特定理由離職者・一般の離職者とは?

耳慣れない言葉が出てきましたね。

特定受給資格者、特定理由離職者、一般の離職者とは、それぞれどのような離職者を指すのでしょうか?

特定受給資格者

特定受給資格者とは、会社側の原因で離職した人のこと(世間では、特定受給資格者ではなく、会社都合退職という呼び方が浸透していますね)。

主に倒産や解雇で仕方なく離職した方がこれにあてはまります。

ただ、特定受給資格者にあてはまるのは倒産や解雇だけではありません。

ここで、特定受給資格者にあてはまる離職理由について一部紹介しましょう。

  • 倒産
  • 解雇
  • 事業所の廃止や縮小
  • 事業所の移転によって通勤が困難になった
  • 労働契約を結ぶときに提示された労働条件と現実が著しく異なった
  • 賃金の3分の1を超える金額が2ヶ月以上未払いだった
  • 賃金が突然85%未満に減少した
  • 度を超えた時間外労働が発生した(例:離職前の半年間のうち、3ヶ月連続で45 時間以上の時間外労働があった)
  • 上司、同僚などから嫌がらせ・パワハラを受けた
  • 直接もしくは間接的に退職して欲しいと言われた
  • 会社が休業し、それが3ヶ月以上続いた
  • 突然、契約終了となった(契約期間1年以内の従業員でかつ、これまで3年以上雇用されていた場合)
  • 労働契約を結ぶ際、契約の更新が明示されていたのに、更新されなかった
  • 行政から安全や健康に関することで指導を受けていたのに、会社が従わなかった
  • 配置転換や職種転換があったが、会社側から必要な配慮がなかった
  • 業務が法律に違反している

特定理由離職者

次に、特定理由離職者ですが、これはやむを得ない事情で離職した人を指します。

ここで、特定理由離職者にあてはまる離職理由について一部紹介しましょう。

  • 期間の定めのある労働契約が期間満了を迎え、更新したいと申し出たものの更新できなかった
  • 体力不足や心身の障害、病気、ケガ
  • 妊娠、出産、育児
  • 家族を扶養しなければならなくなった
  • 家族を介護しなければならなくなった
  • やむを得ない事情で通勤が不可能になった
  • 希望退職者の募集に応じた

一般の離職者

特定受給資格者にも特定理由離職者にもあてはまらない、自分の希望で退職した人は一般の離職者となります(世間では、自己都合退職という呼び方が浸透していますね)。

なお、定年退職者も一般の離職者にあてはまります。

被保険者期間とは?

被保険者期間とは、離職日の翌日を起点としてさかのぼり、賃金が支払われた日数が11日以上ある月のことを指します。

ここでいう"月"とは、暦の"月"ではなく、離職日の翌日を起点として1ヶ月ごとに区切った期間のことを言います。

なお、賃金が支払われた日数には、有給休暇を取得した日も含まれます。

ややこしいので例をあげましょう。

たとえば、12月31日に離職した場合はどうでしょう。

12月31日に離職した場合、起点日は1月1日となります。

この場合、

12月2日~1月1日

11月2日~12月1日

10月2日~11月1日

...

このように期間を区切っていくことになります。

下記のカレンダーをご確認ください。

区切った期間ごとに色分けしています。

また、日付にxがついている日は「賃金が支払われていない日」です。

被保険者期間10月

被保険者期間11月

オレンジの期間(10月2日~11月1日)の賃金が支払われた日数は17日なので、被保険者期間にあてはまります。

一方、緑の期間(11月2日~12月1日)の賃金が支払われた日数は10日なので、被保険者期間にはあてはまりません。

被保険者期間12月

被保険者期間1月

紫の期間(12月2日~1月1日)の賃金が支払われた日数は23日なので、被保険者期間にあてはまります。

なお、転職した場合は、被保険者期間を通算することもできますが、計算する際は下記の点に注意してください。

  • 1前職の離職から再就職までの間、1年を超える空白があると、被保険者期間を通算できません
  • 2過去に基本手当等の給付を受けていた場合、受給後の被保険者期間を計算します
  • 3育児休業基本給付金を受け取っていた期間の被保険者期間は含めることができません

基本手当はいくらもらえるの?

では、基本手当で実際にいくらの給付を受けられるのでしょう?

基本手当の計算方法

基本手当の計算方法は以下の通りです。

支給総額=基本手当日額×所定給付日数

基本手当日額とは?

基本手当日額とは、基本手当で受給できる1日あたりの金額のこと。

賃金日額に年齢や収入といった条件別の割合を乗じたものですが、賃金日額の45%~80%相当となります。

賃金日額とは?

では、賃金日額とは何でしょうか?

賃金日額とは、離職前6ヶ月間の賃金総額(ボーナスは含まない)を180日で割った金額のことです。

所定給付日数とは?

所定給付日数とは、基本手当を受給できる日数のことです。最短で90日、最長で360日となっています。

つまり、離職前の賃金の4~8割が、3ヵ月~1年弱の間 基本手当として支給されるということになります。

支給額を算出してみよう

基本手当日額や所定給付日数は、年齢や勤続年数、離職前の賃金、離職理由などによって細かく変わるため、計算がとても複雑です。

しかも、計算方法は毎年見直されます。

正確な金額を知りたいなら、自分で計算するよりハローワークで問い合わせたほうが早いでしょう。

とりあえずの目安を知りたいのであれば、自動計算ツールを使って算出してみてください。

失業大辞典「雇用保険 失業給付の計算」
http://失業.jp/雇用保険失業給付/計算

試しにいくつかシミュレーションしてみました。

ケース1

年齢 30歳未満
離職理由 自己都合による離職
勤続年数 1年以上5年未満
離職前直近6ヶ月間の平均月給 25万円

ケース1の場合、このような結果になりました。

所定給付日数 90 日
基本手当日額 5,342 円/日
平均支給額 16万260 円/月
支給額合計 48万780 円

ケース2

年齢 35歳以上45歳未満
離職理由 倒産や解雇など会社都合ややむをえない理由による離職
勤続年数 10年以上20年未満
離職前直近6ヶ月間の平均月給 40万円

ケース2の場合、このような結果になりました。

所定給付日数 240日
基本手当日額 6,666 円/日
平均支給額 19万9,980 円/月
支給額合計 159万9,840 円

目安が知りたい方は、ご紹介したようなツールを使ってシミュレーションしてみてください。

給付の受け方と手順

どのような手順を踏めば基本手当を受給できるのでしょうか?

少々複雑ですが、順を追って見ていきまししょう。

1 離職後、会社から必要書類をもらう

会社から下記2つの書類をもらっておきます。

  • 雇用保険被保険者証
  • 雇用保険被保険者離職票(1),(2)

「雇用保険被保険者証」は、会社側が保管していることが多いため、忘れずにもらっておきましょう。

また、「雇用保険被保険者離職票(1),(2)」には、雇用保険の加入情報や離職の具体的理由を記入していくことになります。

特に離職の理由は、「特定受給資格者・特定理由離職者・一般の離職者のうちどれにあてはまるか」ハローワークが判断する要素となるため、会社側と丁寧に協議して進めましょう。

なお、「雇用保険被保険者離職票(2)」のほうは、会社側と労働者側で食い違いがないよう両者が確認したうえで印を押す必要があります。

2 求職の申込みと受給資格決定

居住地域のハローワークに行き、必要な書類を提出し、求職を希望することを伝えましょう(これを求職の申込みといいます)。

このときに必要な書類は下記です。

  • 雇用保険被保険者離職票(1),(2)
  • 住所・年齢を確認できる写真付き公的証明書(運転免許証、住民基本台帳カード等)
  • 縦3センチ、横2.5センチの証明写真2枚(正面上半身を写したもの、3ヶ月以内に撮影したもの)
  • 印鑑
  • 本人名義の普通預金通帳

そして、提出した書類を元に、基本手当の受給資格があるか審査されます。

問題なければ受給資格の決定がおこなわれ、ここで「特定受給資格者・特定理由離職者・一般の離職者のうちどれにあてはまるか」判断されます。

そして、最後に雇用保険受給資格者のしおりを渡され、受給説明会の日程を教えてもらいます。

なお、ここで注意点があります。

この求職の申込みに行った曜日が、のちのちでてくる失業認定日の曜日になってしまうので、ご注意ください。

例)
水曜日に求職の申込みをしたら、認定日も毎回水曜日になってしまう

3 待期期間

受給資格決定から7日間待期期間です。この期間は基本手当を受給することができません。

3 給付制限期間(基本手当日額一般の離職者のみ)

一般の離職者は、7日間の待期期間を経た後、3ヶ月間給付制限期間があります。この期間は基本手当を受給することができません。

4 雇用保険受給者初回説明会

集団で基本手当の受給について説明を受けます。

このとき、下記を持参してください。

  • 雇用保険受給資格者のしおり
  • 印鑑
  • 筆記用具等

そして、ここでは下記の書類を受け取りますが、いずれも基本手当の受給に必要な書類です。

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業認定申告書

また、初回の失業認定日(本当に失業しているか確認する日)が知らされるので、その日までに求職活動をしておかなければなりません。

5 求職活動

失業認定をもらうには、求職活動と認められる活動をする必要があります。

求職活動とは、下記のようなことです。

  • ハローワークの窓口で相談をする、仕事の紹介を受ける
  • ハローワーク主催のセミナーへ出席する
  • 求人に応募する

認定日までに必要な求職活動の回数は原則2回です。

ただ、初回は雇用保険受給者初回説明会が1回としてカウントされるので、もう1回以上 活動すればOKです。

6 失業の認定

指定された認定日にハローワークへ行き、求職活動の報告をおこないます。

このとき、下記の書類を提出する必要があります。

  • 失業認定申告書
  • 雇用保険受給資格者証

失業認定報告書に、それまでにおこなった求職活動の詳細を記し提出しましょう。

ここで問題がなければ失業が認定され、次回の認定日が伝えられます(認定日は、原則として4週間に一度やってきます)。

7 受給

認定日から5営業日以内に、指定した口座に基本手当が振り込まれます。

特定受給資格者および特定理由離職者の場合、初回に振り込まれる金額は、手当日額×21日分です(待期期間の7日間を認定のサイクルである28日から除くため)。

一般の離職者の場合については後述します。

8 その後

この後は、原則として4週間に一度 認定日がやってきて、そこで認定を受ければ基本手当を受給するという繰り返しになります。

給付制限期間なし

一般の離職者の場合はどうなるの?

一般の離職者の場合、待期期間の後、3ヶ月間の給付制限期間があるので、上記で紹介した流れとは異なる部分があります。

ここで詳しく説明しましょう。

まず、給付制限期間の間に初回の失業認定日がきてしまいますが、給付制限期間が終わるまで基本手当を受給できません(ただ、初回の認定日には必ずハローワークに出向く必要があります)。

給付制限期間終了後の認定日でようやく受給することができます。

そのときにもらえる金額は、給付制限期間終了の翌日~認定日の前日までの日数分です。

たとえば、4月1日に求職の申込みをし、受給資格が決定したとします。

この場合、4月1日~7日までは待期期間です。
その後、4月8日から7月7日まで給付制限期間となります。

そして、給付制限期間終了後の認定日が7月22日だった場合、ここでもらえるのは 7月8日(給付制限期間終了の翌日)から7月21日(認定日の前日)までの14日間分です。

つまり、基本手当日額×14日分となります。

一般の離職者の図

ただし、これはあくまで一例です。
認定日はハローワークが指定するので、給付制限期間終了の翌日~認定日の前日までの日数が必ず14日となるわけではありません。

また、一般の離職者の場合、給付制限期間終了後の最初の認定日までに3回以上の求職活動実績が必要です。

病気やケガの場合は受給開始を先延ばしにしてもらえる?

雇用保険を受給できる期間は、通常、離職日の翌日から1年間となっていますが、病気・けが・介護・出産などで30日以上働けなくなった場合は、働けなくなった日数だけ受給開始を延長してもらえます。

延長してもらえるのは、最大3年間です。

延長を希望する場合は、離職日の翌日から30日経過後1ヶ月以内に、ハローワークに行って手続きしてください。

必要書類は下記です。

  • 雇用保険被保険者離職票(1),(2)
  • 印鑑
  • 必要に応じて医師の診断書といった証明書類

手続きは本人以外でも代行できますが、この場合は委任状が必要になります。

ちなみに、60歳以上65歳未満の定年退職者のうち、当面は就職を希望しない方も受給開始延長の申請ができます。

ただし、延長できる期間は最大で1年であることを覚えておきましょう。

また、延長の手続きは、離職日の翌日から2ヶ月以内におこなってください。

あなたは本当に「一般の離職者」?

ここまでご紹介したように、離職理由によって受けられる基本手当に大きな差があります。

特定受給資格者、もしくは特定理由離職者と認められれば、一般の離職者より所定給付日数が1.5倍~2倍 が長くなることがあります。

場合によっては、給付額に100万円以上の差がつくこともあるのです。

また、一般離職者だと給付制限期間が発生するので、基本手当の受給が3ヶ月先延ばしにされます。

余裕のない時にはツライですよね。

このように、離職理由の見極めは非常に大切です。

一見、自己都合の退職に見えても、本当は会社都合の退職であることが少なくありません。

たとえば、下記のようなケースです。

  • 従業員に対し、毎日ひどい暴言や侮辱の言葉を浴びせ、それに耐えられなくなった本人が退職したケース
  • ほとんど嫌がらせのような意味のない仕事を押し付けられ、耐えられなくなった本人が退職した
  • 連日、度を超えた残業が発生し、それが何ヶ月も続いたため耐えられなくなった本人が退職した

泣き寝入りする前に、かならずハローワークに相談してみましょう。

ハローワークが調査した結果、「離職の原因は会社にある(特定受給資格者である)」と認めてもらえることもあります。

ただし、担当者に訴えるだけでは足りません。

ハローワークに動いてもらうため、在職中から証拠を集めておきましょう。

  • 証拠となる会話や発言をICレコーダーで録音
  • 証拠となるものをカメラで撮影
  • 毎日、どのようなことがあったか事細かに日記をつける

このようなものがない場合、覚えていることを紙に書き出すだけでもかまいません。

また、ハローワークには捜査権がないため、より会社の内情に踏み込んでもらいたい場合は、捜査権がある労働基準監督署に相談を持ちかけてみましょう。

全国労働基準監督署の所在案内
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html

離職前でも、離職後でもかまいません。

「自分の能力が足りなかったからだ、弱かったからだ...」と泣き寝入りせず、必ず相談するようにしてください。

いかがでしたか?
基本手当について、だいたいのことがおわかりいただけたのではないでしょうか。

やや複雑なことが多いので、詳しいことはハローワークの担当者に問い合わせてみましょう。

ちなみに、ハローワークでの仕事の探し方はこちらで解説していますので、ご興味があればぜひ。

受給資格のある失業者の方は、基本手当を受給して就職活動をがんばってくださいね

そして、基本手当を受け取る失業者は、ハローワークで公共職業訓練を受けられるってご存知でしたか?

公共職業訓練を受講することで受けとれる技能習得手当についても取り上げていますので、こちらもあわせて読んでみてください。

また、基本保険受給中でもアルバイトをすることはできます。

しかし、それにはいくつか制約があり、アルバイトできない期間などいくつか決まりがあるので注意してください。

詳しくは失業保険受給中でもアルバイトでお金を稼いじゃう方法と注意点まとめに目を通してみてください。

カードローン申込数ランキング

今日中にお金を借りたい人に、一番選ばれているカードローンは?

同じテーマのログ(記事)ランキング

人気のログ(記事)ランキング

同じテーマの記事の一覧

カテゴリ一覧

キャッシングの基礎
ローンの基礎知識
キャッシングの体験談
注目の特集
レビュアーによる検証
債務整理体験談
全国各地のむじんくん(自動契約機)の詳細情報