失業保険受給中でもアルバイトでお金を稼いじゃう方法と注意点まとめ

失業保険受給中でもアルバイトでお金を稼げる?

失業したが、次の勤め先が決まっていない...。

こんな時は、当面、雇用保険の失業給付を受けながら求職活動していくことになりますよね。

いわゆる失業保険です。

でも、なかには「それだけだと生活が回らない」という方もいるのではないでしょうか。

そこで疑問なのが、「失業給付を受けている間はアルバイトできるの?」ということ。

結論からいうと、アルバイトはできます。

しかし、それにはもろもろの条件や制約がありまして、アルバイトをした日や収入についてハローワークに申告する必要があります。

今回は、失業給付を受けながらアルバイトをおこなう方法や注意点をくわしく調査しました。

労働問題に詳しい社会保険労務士にもお話をうかがっています。

この記事の編集者情報

  • 木村 澪子私が編集者です!

    テレビ・雑誌等の取材歴15年。ファイグーではお金の話をわかりやすく、よりリアルにお伝えするために、背景や当事者の気持ちに寄り添う取材を心がけています。銀行マン、証券マン、利用者などからぶっちゃけたお話を聞くにつけ、「消費者も賢くならなければ…」と痛感する日々です。家族は夫・娘・ザリガニ2匹。

アルバイトして良い期間・ダメな期間

退職してから失業給付(いわゆる通常の失業給付のことを、基本手当と呼ぶので、以降「基本手当」とします)を受け取るまでには、いくつかのステップを踏む必要があります。

そのステップのなかで、アルバイトOKの期間とNGの期間があるのです。

基本手当を受給するまでの流れ

まずは退職してから基本手当を受けとるまでの大まかな流れを整理しましょう。

求職の申込みと受給資格の決定

必要書類を揃えてハローワークへ行き、求職の申込みをおこないます。

必要書類を提出すると担当者による面接があり、それで基本手当の受給資格があるかどうか審査されます。

無事審査に通り、受給資格が決定したら雇用保険受給者初回説明会について案内があります。

7日間の待期期間

受給資格が決定した日より7日間は待期期間となります。

給付制限期間

特定受給資格者・特定理由離職者(※1)の場合、待期期間終了の翌日から基本手当の支給対象日となります。

一方、一般の離職者(※1)の場合、待期期間終了後の1ヶ月~3ヶ月間は基本手当が支給されません。

この期間は給付制限期間とよばれます。

給付制限期間が終了した翌日から、基本手当の支給対象日となります。

※1
簡単にいうと、会社都合で退職した人を「特定受給資格者」、病気・出産・介護などやむをえない理由で退職した人を「特定理由離職者」と呼びます。それ以外の自己都合で退職した人を「一般の離職者」と呼びます。

雇用保険受給者初回説明会

基本手当を受けとるための手続きや今後の流れなどについて詳しい説明があります。

また、必要書類が配布され、次回、ハローワークに行かなければならない日(初回の失業認定日)について案内されます。

失業の認定

基本手当を受けとるには、4週間に一度、指定日(失業認定日)にハローワークに行き、求職活動やアルバイト等について報告しなければなりません。

ここで、「失業中である」との認定を受けた日を対象に基本手当が支給されます。

基本手当の受給

失業認定日から5営業日前後で、指定の口座に基本手当が振り込まれます。

そして、所定の支給日数が終了するまで、または就職先が決まるまで「失業の認定と基本手当の受給」が繰り返されます。

4週間ごとに失業の認定を受け、基本手当を受け取るのです。

なお、基本手当の受給資格、受取るまでの流れ、計算方法についてこちらで詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

アルバイトしても良い期間・ダメな期間とは

まず、求職の申込み前であれば 好きにアルバイトしてOKですし、ハローワークへの申告も不要です。

ただし、求職の申込み(受給資格の決定)~待期期間中はアルバイトしてはいけません。

なぜなら、この期間は「失業している」事実を確認する期間だからです。

この期間にアルバイトしてしまうと、失業していないとみなされ、基本手当の支給が先延ばしになってしまいます。

また、一般の離職者は、待期期間に加えて給付制限期間がありますが、この期間もアルバイトしてはいけないのでしょうか?

いいえ、給付制限期間中のアルバイトはもちろんOKです!

ただし、申告する必要があります(給付制限期間終了後、はじめての失業認定日に申告する必要があります)。

ハローワークの元職員Aさんより

給付制限期間中は、しっかりアルバイトをして稼ぐといいと思います。

社会保険労務士Bさんより

同じアルバイト先で継続的に働く場合はご注意ください。何かのきっかけでハローワークがそのことを把握したら、「就職した」と判断する可能性があります。単発のアルバイトや日雇いなど、継続性のないものにしておいたほうが無難です。

アルバイトできる期間と申告の要否について下記の表にまとめてみました。

特定受給資格者・特定理由離職者の場合

  求職の申込み前 求職の申込み~待期期間中 待期期間終了後
アルバイトの可否 不可
申告の要否 不要

一般の離職者の場合

  求職の申込み前 求職の申込み~待期期間中 給付制限期間 給付制限期間終了後
アルバイトの可否 不可
申告の要否 不要

ハローワークへの申告は必須!欠かさず申告しよう

前章でも少し説明しましたが、基本手当の受給中および給付制限期間中にアルバイト・パート・内職等で収入を得た場合、ハローワークに申告する必要があります。

失業認定日に管轄のハローワークに行く際に必ず申告しましょう。

申告方法

失業認定日にハローワークに提出する失業認定申告書の

「失業の認定を受けようとする期間中に、就職・就労又は内職・手伝いをしましたか」

という項目で、「した」にOをつけます。

そして、その隣にあるカレンダーで、アルバイト・パート・内職等をした日に印をつけます。

その際、

「就職・就労をした日は○印、内職・手伝いをした日は×印を記入してください(※2)

とあるので、そのとおりに書いてください。

そして、

「内職又は手伝い(※2)をして収入を得た人は、収入のあった日、その額(何日分か)などを記入してください」

とあるので、「収入のあった日」「収入額」「何日分の収入か」について記入してください。

※2
「就職・就労」と「内職・手伝い」は、原則として労働時間によって区別されます。1日の就労時間が4時間以上の場合は「就職・就労」、4時間未満の場合は「内職・手伝い」となります。

失業認定申告書

ハローワークインターネットサービス「失業認定申告書」
https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/info_1_e4_01.pdf
<2017/01/23>

あとは、残りの必要事項を記入し、ハローワークの所定の窓口に提出すれば申告は完了です。

ハローワークの元職員Aさんより

ちなみに、1日4時間以上アルバイトをした日は、失業状態と認定されないので基本手当は支給されません。しかし受給する権利が消滅するわけではなく、支給が先送りされるだけです。

週に20時間以内!労働時間には限りがある

基本手当受給中のアルバイトには、労働時間の制限があります。

働き過ぎると「定職についた」とみなされ、基本手当を受け取れなくなってしまいます。

では、どのくらい働くと「定職についた」とみなされるのでしょうか。

アルバイトであっても、基準となる時間を超えて働くと、正社員と同じように雇用保険に加入することになります。

そのため、雇用保険に加入する条件を満たすと、「定職についた」とみなされる場合が多いようです。

ハローワークの元職員Aさんより

働き過ぎると、アルバイト先が勝手に雇用保険をかけてしまうこともあります。

では、雇用保険に加入する条件とはどのようなものでしょうか。

雇用保険に加入する条件

  • 1週間の労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用が見込まれる者であること

上記2つの条件を満たす必要があります。

「31日以上の雇用が見込まれるか」のほうは非常に曖昧で複雑なので、とにかく週に20時間以上働かないでおいたほうが無難でしょう。

ただ、ここで注意です。

紹介した基準は一般的なものですが、実際の判断はハローワークの担当職員が下します。

たとえば、週20時間に満たない労働でも、「定職についた」と判断される場合もあるかもしれません。

認められる労働時間や日数については、あらかじめ管轄のハローワークでしっかり確認しておきましょう。

稼ぎ過ぎは禁物?収入によって基本手当が減額されることも

基本手当受給中のアルバイトは、収入にも制限があります。

アルバイトで得た収入の金額によっては、基本手当が減額され、最悪の場合は0になってしまうのです。

ただし、こちらは1日の労働時間が4時間未満の場合に限られます。

1日の労働時間が4時間以上の場合、基本手当の金額は減額されず、支給が先送りになるだけで済みます。

ハローワークの元職員Aさんより

基本手当の受給期間中は、求職活動がおろそかにならない範囲で、単発のアルバイトを活用するのがいいと思います。ポイントは1日4時間以上のアルバイトを選ぶことです。労働時間が4時間未満だと支給される基本手当の額が減額されますが、4時間以上だと支給が先送りされます。
先送りになった分は、基本手当支給の最終回に付け足されるので、安心してください。

では、1時間4時間未満働く場合、どのくらい収入があると基本手当の減額対象になってしまうのでしょうか?

基本手当が減額されるかどうかは、次の計算式で決まります。

基本手当日額(※3)+アルバイト等での1日分の収入額-控除額(※4)

この計算の結果が、「前職での賃金日額(※5)の80%」より多い場合、超えた分の金額が基本手当日額から減額されるのです。

※3
基本手当日額は、基本手当の1日あたりの金額のこと。

※4
控除額は1,282円。今後変動する可能性あり

※5
賃金日額は、6ヶ月分の賃金(総支給額)を180日で割ったもの。ここでいう賃金にはボーナスや退職金は含まれませんが、通勤手当、住宅手当、残業手当などは含まれます。

いくら減ってしまうの?

では、例をあげてみましょう。

  • 年齢:35歳
  • 前職での賃金日額:8,000円
  • 基本手当日額:5,000円

以上の条件の方が、日給6,000円のアルバイトをした場合はどうでしょうか。

まず、「基本手当日額+アルバイト等での1日分の収入額-控除額」を計算しましょう。

5,000円+6,000円-1,282円=9,718円

また、「前職での賃金日額×80%」はいくらになるのでしょうか。

8,000円×80%=6,400円

この場合、

9,718円>6,400円

つまり、

基本手当日額+アルバイト等での1日分の収入額-控除額>前職での賃金日額×80%

このようになるので、基本手当の減額対象となります。

9,718円-6,400円=3,318円

3,318円が基本手当日額から減額されます。

この方の場合、基本手当日額は5,000円なので、アルバイトをおこなった日の基本手当日額は、

5,000円-3,318円=1,682円

もともと5,000円もらえるはずだったのに、だいぶ減ってしまいますね...。

また、「前職での賃金日額×80%」よりも「アルバイト等での1日分の収入額-控除額」のほうが高くなった場合、その日の基本手当日額はゼロとなるので注意が必要です。

このように、アルバイトで得る収入の額によって、もらえるはずだった基本手当が減額されたり、ゼロになったりすることがあります。

最悪の場合「3倍返し」も?!不正受給による罰則とは

基本手当受給中のアルバイトは必ず申告してください。

申告しないまま基本手当を受給した場合、不正受給となります。

そして、不正受給が発覚した場合、下記のような厳しい罰則を受けることになります。

支給停止

不正受給だと判断された日より、基本手当を受けられなくなる

返還命令

支給停止に加え、これまで受けとった基本手当を全て返金しなければならない

納付命令

返還命令で返金したお金とは別に、これまで受け取った基本手当の2倍の額を納めなければならない(結果的にこれまで受給した額の3倍を納めることになるので、「3倍返し」と呼ばれています)。

返還命令、納付命令を出された場合、命令を受けたらすぐに支払う必要があります(不正受給と判断された日から延滞金も発生します)。

命令が出ているのに支払いをせず放置した場合、最終的に預金などの財産を差し押さえられる可能性もあります。

さらに、意図的に隠したと認められる場合は、詐欺罪として罰せられる可能性もあります。

こうなると前科がついてしまい、一生あなたについてまわることになります。

このように、不正受給は厳重に処罰されます。

ハローワークの元職員Aさんより

返還請求があるのに返還しないと、財産差し押さえや詐欺罪で訴えられることがあります。大半は、電話や自宅に訪問して催促すると返還しますが、悪質な場合は法的措置を取られかねません。

不正受給の返還請求権の時効は2年です。

絶対バレないと思っていても、情報がどこから漏れるかわかりません。

アルバイト先から発覚することもありますし、あなたのまわりの人がハローワークに通報する可能性もあります。

ハローワークの元職員Aさんより

不正受給の通報はけっこうあります。特に知人が通報してくるケースが多いです。

実際に支給停止になった実例

かつて基本手当を受給していたCさん(体験者)より

基本手当をもらい始めてからも、アルバイトで月30万円程度を稼いでいましたが、この収入をハローワークに申告していませんでした。しかし、ある失業認定日に収入の申告を厳しく要請されて、観念した私。アルバイトの収入について正直に打ち明けました。結果、以降の基本手当の支給停止が確定。「場合によっては、これまでに支給した分の返還を請求する」とも言われました。しばらくは返還請求におびえていましたが、その後、特に連絡はありませんでした。

まとめ

今回のポイントをおさらいしましょう。

  • 特定受給資格者・特定理由離職者がアルバイトできる期間
    • 「求職の申込み前」はアルバイト可能で申告も不要
    • 「求職の申込み~待期期間中」はアルバイト不可
    • 「待期期間終了後」はアルバイト可能だが申告が必要
  • 一般の離職者がアルバイトできる期間
    • 「求職の申込み前」はアルバイト可能で申告も不要
    • 「求職の申込み~待期期間中」はアルバイト不可
    • 「給付制限期間」と「給付制限期間終了後」はアルバイト可能だが申告が必要
  • 基本手当の受給中、および給付制限期間中にアルバイト・パート・内職等をした場合、ハローワークに申告する必要がある
  • 基本手当受給中は、週に20時間以上働くことはできない
  • 基本手当受給中に1日4時間未満のアルバイトをした場合、基本手当が減額されることがある
    • 「基本手当日額+アルバイト等での1日分の収入額-控除額」が「前職での賃金日額の80%」より多い場合、超えた分の金額が基本手当日額から減額される
    • 「前職での賃金日額×80%」よりも「アルバイト等での1日分の収入額-控除額」のほうが高くなった場合、その日の基本手当日額はゼロとなる
  • 基本手当受給中に1日4時間以上のアルバイトをした場合、基本手当の額は減額されず、支給が先送りになるだけで済む
  • 基本手当受給中にアルバイトするなら、1日4時間以上で、週に20時間未満働くべき
  • 基本手当受給中のアルバイトを申告していないことが発覚した場合、厳しい罰則を受けることに
    • 支給停止(以降の基本手当の支給停止)
    • 返還命令(これまでに受け取った基本手当を返還しなければならない)
    • 納付命令(これまでに受け取った基本手当の3倍を返還しなければならない)

いかがでしたか?

基本手当はあくまで再就職先を探す方のためのものです。

したがって、就職活動に差し支えるような長時間・長期間のアルバイトはできません。

また、アルバイトの収入額によっては基本手当が減額されてしまいます。

これらのことを把握した上で、うまく基本手当とアルバイトを併用したいですよね。

細かい基準やきまりなど、各ハローワークによって異なることもありますので、気になる方は一度ハローワークに相談してみましょう。

また、基本手当の受給中に公共職業訓練を受ければ別途 手当を受け取れる場合もあります。

気になる方はこちらもチェックしてみてください。

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