キャッシングを利用すると信用情報に傷がつく?!

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「キャッシングやカードローンを利用すると、信用情報に傷がついて、将来、住宅ローンや自動車ローンを組めなくなる」

こんな話を聞いたことはありませんか?

もし本当だったら、怖くてお金なんか借りられませんよね。

でも、本当にそうなのでしょうか?

今回は、「キャッシングをすると信用情報に傷がつくのか」というテーマで、基礎から細かく解説しています。

また、後半では「キャッシング履歴が住宅ローンやクレジットカードの審査に影響するのか」について、それぞれ元銀行員や元カード会社員にインタビューし、結果をまとめました。

この記事のアドバイザー・編集者情報

  • 土居 亮規AFP認定ファイナンシャルプランナー

    「バタフライファイナンシャルパートナーズ」代表。「お客様の経済的羽化と飛翔」を理念に、金融商品の仲介手数料を目的としたアドバイスではなく「100%顧客目線」のファイナンシャル・プランニング業を推進中。http://www.butterfly-fp.com/

  • 田中 靖子私が編集者です!

    編集・ライター歴20年。読み手にわかりやすく、正確・誠実に情報を伝えることをモットーにしています。ファイグーでは読み手が求める情報をいかに適切に把握し、発信できるかを日々模索中。ささやかでも生活に役立つヒントをお届けできたら幸いです!現在は保育士とのダブルワーク中。高校球児の母。朝5時起きで白飯大盛弁当づくりが日課です。

  • 松本 真也銀行員

    地方銀行にて20年以上勤続中。ローン営業、法人営業での行内表彰も多数。金融・ビジネスに関する幅広い知識でお客様のご相談にお応えしています。1級FP技能士、証券外務員、生損保販売員資格など複数資格あり。

そもそも信用情報って何?

キャッシングを利用すると信用情報に傷がつくのかを解説する前に、信用情報について説明する必要がありますね。

信用情報は、信用取引の際に必要となります。

では、信用取引とは何でしょうか?

信用取引とは?

信用取引とは、現金を支払わずに商品を購入したり、お金を借りる取引です。

たとえば、下記のようなものはすべて信用取引にあたります。

  • クレジットカードで商品を購入する
  • ショッピングローンを組んで商品を購入する
  • クレジットカードのキャッシング枠を使ってお金を借りる
  • 銀行や消費者金融などの金融機関でお金を借りる

こうした信用取引をする際、金融機関(※1)は商品の購入者あるいはお金を貸す相手が「支払い能力があるかどうか」見極める必要があります。

この判断のために必ず参考にするのが、信用情報です。

では、信用情報とはどんなものでしょうか。

※1
ここでは、銀行も消費者金融もクレジットカード会社も金融機関に含みます。

信用情報とは?

信用情報を簡単に言うと、クレジットカードやローンの利用記録のことです。

たとえば、あなたがローンを組んだとしたら、その契約内容や返済状況、返済残高などが記録されます。

いうならば、個人の「お金に関する履歴書」のようなものだと思ってください。

信用情報には何が記録されているの?

信用情報には、主に下記のような情報が記録されています。

種類 主な情報
本人を特定するための情報
  • 氏名
  • 生年月日
  • 性別
  • 住所
  • 電話番号
  • 勤務先名
  • 勤務先電話番号
契約内容に関する情報
  • 会社名
  • 契約の詳細(商品名、支払回数等)
  • 契約日
  • 利用金額等
返済状況に関する情報
  • 入金日
  • 入金予定日
  • 残高
  • 完済日
  • 延滞の有無
取引事実に関する情報
  • 債務整理
  • 代位弁済
  • 強制解約

このように、利用者の基本的な個人情報や、クレジットカードやローンの利用状況が細かく記録されているのです。

信用情報はどこで管理されている?

個人の信用情報は信用情報機関で、管理・保持されています。

日本には下記3つの信用情報機関があり、国内の金融機関はいずれかの信用情報機関に必ず加盟しています。

  • JICC(株式会社 日本信用情報機構)
  • CIC(株式会社シー・アイ・シー)
  • 全国銀行個人信用情報センター

最近は2つ以上の信用情報機関に加盟している金融機関が多いです。

たとえば、消費者金融のアコムはJICCとCICの2つに加盟しています。

金融機関と信用情報機関はどんなやりとりをしている?

ローンやクレジットカードに申込むと、「契約して問題ないか」を判断するため、金融機関は信用情報機関を通じて申込者の信用情報を確認します。

信用情報の確認について

金融機関は信用情報機関に申込者の信用情報を勝手に確認することはできず、あらかじめ申込者に信用情報を照会する旨の同意を得る必要があります。通常はローンなどの申込書に信用情報を照会する旨を表示することで同意の確認を行っています。

松本 真也(銀行員)

また、金融機関は利用者の状況(申込み・契約・借入れ・返済など)を逐一、信用情報機関に申告しています。

たとえば、消費者金融A社がCICに加盟しているとしましょう。

あなたがA社のローンに申込むと、A社はCICを通じてあなたの信用情報をチェックします。

信用情報やその他の情報にもとづき審査を行い、問題なければ融資が実行されます。

そして、あなたがA社に申込み、契約、借入れ、返済した情報は、A社を通して、逐一CICに保存されるのです。

一部の情報は3つの信用情報機関で共有されている

基本的に、金融機関は加盟している信用情報機関にある信用情報しか参照できません。

ただ、一部の情報は3つの信用情報機関で共有されているので、どの信用情報機関からも確認できます。

一部の情報とは下記の情報です。

  • 延滞、債務整理などのいわゆる事故情報(事故情報については後ほど解説します)
  • カードの紛失や盗難に関する情報
  • 本人からの申告情報(例、同姓同名の信用情報が誤って記録されている)

このような情報は、3つの信用情報機関で共有されているのです。

なお、信用情報や信用情報機関の解説はこちらをご参照ください。

「信用情報に傷がつく」ってどういう状態?

信用情報について、基本的なことはおわかりいただけたかと思います。

では、「信用情報に傷がつく」とは具体的にどういう状態なのでしょうか?

信用情報に傷がつく=事故情報が記録された状態

信用情報に、事故情報(※2)が記録されていることを「傷がつく」と表現する場合が多いです。

では、事故情報とはどのような情報なのでしょうか?

※2
正しくは異動情報と呼ばれることが多く、事故情報は通称のようです。

事故情報とは何か?

代表的なものを4つあげましょう。

延滞

クレジットカードやローンの支払いを延滞すると、金融機関を通じて信用情報に記録されます(最近は携帯電話の機種代を割賦で支払うことが多いですが、これも延滞すると信用情報に記録されます)。

タイミングは各金融機関にゆだねられているので一概にいえませんが、2~3ヶ月以上延滞すると記録されることが多いようです。

一度 信用情報に延滞の記録が載ると、延滞を解消してからも最長1~5年間記録が残ります。

債務整理

債務整理は、合法的に借金を整理する手続きです。

破産、任意整理、個人再生、特定調停などさまざまな種類があります。

例)
破産を申立てて免責がおりれば、抱えている借金はすべてゼロになります。

ただし、いずれの手続きを行った場合も、信用情報に記録が残ります。

たとえば、任意整理なら最長5年間、破産なら最長5~10年間にわたって記録が残るのです。

なお、債務整理の種類や内容の解説もぜひお読みになってみてください。

強制解約

延滞が長期に渡ったなどの理由で、金融機関から強制的に契約を打ち切られることがあります(これを強制解約と呼びます)。

強制解約になったら、その情報は最長5年間、信用情報に残ります。

土居 亮規(AFP認定ファイナンシャルプランナー)

信用情報について

強制解約処理が行われたとしても100%、信用情報に残るわけではありません。
信用情報を管理する3つの機関のひとつ「CIC」の信用情報データには「強制解約」の項目がないため、そもそも記録が残りません。つまり、照会先が「CIC」のみで、他機関ともデータ共有がされていない場合は、強制解約処理があったかどうかはわかりません。
もっとも、最近の金融機関や保証会社は、カード発行の際に「CIC」「JICC」両方に照会をかける可能性が高いため、強制解約が行われてから約5年間は基本的に審査に通らなくなります。

土居 亮規(AFP認定ファイナンシャルプランナー)

代位弁済

通常、クレジットカードやキャッシングに申込む際に保証人は必要ありません。

保証会社が保証人の代わりをつとめているからです。

そして、利用者の返済が滞った場合は、保証会社が利用者に代わり、残りを返済します(これを代位弁済といいます)。

代位弁済が行われたら、その情報は最長5年間信用情報に残ります。

事故情報があるとローンの審査に通らなくなる?

では、信用情報に事故情報が記録されていると、審査にどのような影響があるのでしょうか。

主なものをあげてみましょう。

  • クレジットカードの審査に通らない
  • クレジットカードの更新ができない
  • キャッシング、住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなど、ローンの審査に通らない
  • すでにキャッシングやクレジットカードを利用中の場合、利用限度額を下げられたり、利用停止になる可能性がある
  • 携帯電話を割賦で購入できなくなる

先に説明したように、事故情報は3つの信用情報機関で共有されているため、どこの金融機関も確認することができます。

残念ながら、事故情報の記録がある人にお金を貸す金融機関はほとんどありません。

事故情報の記録について

金融機関が信用情報の確認結果を申込者に開示することは、信用情報機関から禁止されています。そのため、事故情報の記録が見つかったとしても「個人信用情報に事故情報があった」とは回答せず、「総合的に判断して、今回は見送りさせていただくこととなりました」といった内容で回答します。
もしローンを申し込んだ金融機関から「総合的に判断して...」と断られた場合は、あなたの個人情報に傷がついている可能性を疑ってみたほうがいいでしょう。

松本 真也(銀行員)

事故情報も一定の期間が過ぎれば消えますが、延滞でも最長5年は記録が残るので、くれぐれも注意してくださいね。

ちなみに、事故情報の詳しい説明はこちらで確認してください。

自分の信用情報は自分で確認できる!

ここまで読んで、「自分の信用情報は大丈夫だろうか?」と不安に思われたかもしれませんね。

実は、自分の信用情報なら自分で確認することができるのです。

いずれの信用情報機関にも、情報の開示請求ができます。

ここではJICCを例に挙げましょう。

JICCの場合、電話・郵送などで自分の情報を開示請求できます。

電話・郵送で開示請求した場合、結果は1週間~10日程度で郵送されてきます。

手数料は1,000円(税込)ですが、支払方法によっては別途手数料が必要になるので注意してください。

キャッシングを利用すると信用情報に傷がつくは「ウソ」

キャッシングをしただけで信用情報に傷がつくというウワサがありますが、それはウソです。

前章で説明したように、信用情報に傷がつくとは、「信用情報に事故情報が記録された状態」のこと。

キャッシングを利用しただけで信用情報に傷がつくことはありません。

しかし、キャッシングを利用すると、その内容が信用情報に記録されるので、その後のローン・クレジットカードの審査に影響がでる可能性はゼロとはいえません。

判断基準は金融機関によって異なるので、なんともいえないのです。

元銀行マンに聞いた!キャッシングを利用すると住宅ローンの審査に通らない?

先に触れたように、キャッシングを利用しただけで信用情報に傷がつくことはありません。

では、キャッシングの利用記録が、住宅ローンや自動車ローンの審査に影響することはあるのでしょうか?

このことについて、地方銀行でローンの審査を担当していた元銀行マンおふたりにお話を聞きました。

質問1
キャッシングを利用中の場合、住宅ローンや自動車ローンの審査に影響するのでしょうか?(事故情報なしが前提)

元銀行マンAさん、Bさんの回答

(おふたりの回答は似通っていたので、ひとつにまとめています)

はい、大きく影響します。

そもそも審査してもらえない?

キャッシングは非常に高金利のローンです。

つまり、キャッシングの利用者は、「高い金利を支払ってでもお金を借りる必要がある人」ということ。

本音でいうと、そんな人には貸したくありません。

特に、クレジットカード会社・消費者金融から借入れがある人は、複数の借金を抱えている場合が多いので、審査前に断ることもあります。

また、生活費のために日常的にキャッシングを利用しているような人もアウトです。

審査でみられるポイント

もし、審査までこぎつけることができたら、下記をチェックします。

  • 借入件数は何件か
  • 借入先はどこか
  • なぜ借入れにいたったのか
  • 所得はいくらか
  • 各借入先の利用限度額と借入額、毎月の返済額

これらのことをみて、「問題ないかどうか」総合的に判断します。

住宅ローンの審査はココをみられる!

住宅ローンの場合は、先に挙げた項目に加え、年収における年間の返済額(※3)の割合をチェックします。

※3
ここでいう年間の返済額には、下記のようなものが含まれます。

  • 申込み予定の住宅ローンの年間返済額
  • 自動車ローン、教育ローン、キャッシングなどのローンの年間返済額
  • クレジットカード(キャッシング、分割払い、リボ払い)の年間返済額

キャッシングとクレジットカードについては、利用限度額いっぱいまで借入れた状態を想定します。たとえば、A社で利用限度額100万円のカードローンを契約していたとしたら、実際の借入額が10万円でも、「100万円借入れている」として年間の返済額を計算するのです。

年収400万円未満の場合、年間返済額が年収の30%を超えたらアウト、年収400万円以上の場合、年間返済額が年収の35%を超えたらアウトです。

たとえば、年収380万円のAさんが、キャッシングで年間12万円を返済していて、今回申込む住宅ローンの年間返済額が120万円の場合、

年間返済額の合計は、

12万円+120万円=132万円 です。

132万円が年収に占める割合を計算すると、

132万円÷380万円=約34.7%

年収400万円未満の場合、年収の30%を超えていたらアウトなので、Aさんは住宅ローン審査に通らないということになります。

一方、自動車ローンの場合は年収における年間の返済額の割合について、このような明確な基準があるわけではありません。

質問2
キャッシングの利用履歴(完済済み)が、住宅ローンや自動車ローンの審査に影響することはありますか?(事故情報なしが前提)

元銀行マンAさんの回答

完済済みであれば影響ありません。

ただし、常習的に利用していた場合や、住宅ローン申込みにあたり、慌てて完済したようなケースは事情をうかがうことになります。

「常習的な利用」の基準については、具体的に決まっているわけではありません。担当者の判断次第です。

ただ、キャッシングで生活費をまかなっていたようなケースはアウトですね。

元銀行マンBさんの回答

完済済みであっても、信用情報に記録が残っていれば(※4)、審査は厳しくなります。

※4
キャッシングなどのローンの利用記録は、解約後も最長5年間は信用情報に残ります。

ただし、解約済みであれば印象は良くなるでしょう。

銀行のローンに申込むときは、完済済みのローンを解約しておきましょう。

元カード会社員に聞いた!キャッシングを利用してもクレジットカードはつくれる?

キャッシングの利用記録が、クレジットカードの審査に影響することはあるのでしょうか?

今度は、大手クレジットカード会社の元社員おふたりにお話をうかがいました。

質問1
キャッシングを利用中の場合、クレジットカードの審査に影響しますか?(事故情報なしが前提)

クレジットカード会社の元社員Cさんの回答

はい。

クレジットカード会社によって異なりますが、うちの場合、総量規制に引っかかってしまうと審査に通りません(カードを発行できません)。

総量規制とは、貸金業者(※5)からの借入れを個人の年収の1/3までに制限するもの。

※5
貸金業者とは、主に消費者金融やクレジットカード会社のこと。銀行は含みません。また、クレジットカードのキャッシング枠は含まれますが、ショッピング枠は含まれません。

他の貸金業者からの借入額と今回申込むクレジットカードのキャッシング希望額が年収の1/3を超える場合は、審査に通りません。

そのため、他の貸金業者から借入れがある場合はキャッシング枠0円で申し込むと、審査通過率が上がると思います。

クレジットカード会社の元社員Dさんの回答

はい。影響があります。

クレジットカードには、ショッピング枠とキャッシング枠がありますが、影響を受けるのはキャッシング枠のほうです(ショッピング枠に影響することはありません)。

他の貸金業者で設定されている利用限度額と、今回申込むクレジットカードのキャッシング希望額を足して年収の1/3を超える場合はカード発行不可となります。

たとえば、Aさんがある消費者金融で利用限度額60万円のローンを契約していて、まだ1円も借入れていないとしましょう。

Aさんの年収が300万円だとした場合、

300万円÷3=100万円

貸金業者から借りられるのは最大でも100万円ですね(総量規制より)。

このAさんがうちのクレジットカードに申込みした場合、

100万円-60万円=40万円

Aさんは最大40万円のキャッシング枠となります。

質問2
キャッシングの利用履歴(完済済み)が、クレジットカードの審査に影響することはありますか?(事故情報なしが前提)

クレジットカード会社の元社員Cさん・Dさんの回答

完済していればまず影響ありません。

いかがでしたか?

キャッシングを利用しただけで信用情報は傷つきませんが、ローンやクレジットカードの審査に影響があることも多いようです。

たとえば 住宅ローンの場合、「キャッシング利用中」というだけで審査に不利になるケースがあるとのこと。

また、完済済みであっても、審査に悪影響を及ぼす可能性があるので油断できませんね。

「いずれは住宅ローンや自動車ローンを組みたい」と考えているなら、安易にキャッシングを利用すべきでないのかもしれません。

すでにキャッシングを利用しているなら、計画的な利用を心がけ、延滞せず完済するようにしましょう。

また、完済済みのローンがあるのなら、念のため解約しておくといいでしょう。

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