意外に簡単!個人経営の飲食店を廃業するときの必要書類まとめ

廃業時の手続きほど気が重く、面倒なものはありませんよね。

おそろかにしてしまいたい気持ちもよくわかります。

しかし、なかには手続きをおこたると数十万円の罰金をとられるケースもあります!

あとで後悔しないよう、手続きは最後までしっかりやりとげるようにしましょう。

今回は、個人経営の飲食店を廃業するときに必要な届け出・手続きについて詳しく調査しました。

  • 個人経営の飲食店を廃業するときに必要な届け出
  • 賃借店舗の原状回復工事をするときに注意すること
  • その他廃業に向けて必要な準備

主に上記のことについて、現役行政書士の意見を元にまとめてみました。

廃業の手続きなんて気が進みませんが、はやめにしっかり対応することでトラブルや面倒を避けることができます。

ぜひ参考にしてみてください。

飲食店を廃業する時は「どこ」に「何」の届けを出せばいい?

まずは、個人経営の飲食店を廃業する際に必要な届け出について説明していきます。

どこに届けを出す必要がある?

いかなる場合でも、保健所・税務署・都道府県税事務所への届け出は必須です。

これら以外の届け出は、店の種類や従業員の有無によって異なりますので、店舗の種別ごとの届出書類については以下に説明していきます。

バーなどの深夜酒類提供飲食店の場合

開業時、警察署に酒類提供飲食店営業営業開始届出書を提出していた場合、廃業時に警察にも届けを出す必要があります。

バーなどの深夜酒類提供飲食店(※1)が提出しなければなりません。

※1
深夜0時以降~日の出の時間帯に酒類、食事を提供する飲食店のこと。

キャバクラやスナックなどの社交飲食店の場合

開業時に警察署の風俗営業許可を取得していた場合、廃業時に警察にも届け出る必要があります。

キャバクラやスナックなどスタッフが席について接客する社交飲食店や、ダンスホールや照明の暗い喫茶店などがこちらにあてはまります。

従業員を雇用している場合

従業員を雇用し、保険に加入している場合は、下記の届け出が必要です。

健康保険もしくは厚生年金保険に加入している場合

日本年金機構への届け出が必要となります。

雇用保険に加入している場合

日本年金機構・労働基準監督署・公共職業安定所への届け出が必要です。

労災保険に加入している場合

労働基準監督署への届け出が必要です。

ここから、それぞれの届け出について詳しく説明していきます。

保健所への届け出

飲食店を廃業する際は、店舗の所在地を管轄する保健所(※2)廃業届を提出しなければなりません。

また、開業時に受け取った食品営業許可証を返還しましょう(※3)

※2
地域によっては名称が違うこともあります。たとえば、大阪府の場合は「生活衛生監視事務所」といいます。

※3
営業許可証がみあたらない場合、紛失届を提出すれば問題ありません。保健所の窓口で相談しましょう。

提出期限

多くは廃業日から10日以内ですが、地域によって期日が異なります。

提出方法

持参もしくは郵送で提出できます。
ただし、地域によっては郵送不可です。

書類の入手方法

廃業届の書式は自治体によって異なります。

インターネットで検索し、各自治体のホームページから書類をダウンロードしましょう。

たとえば、店舗の所在地が東京都新宿区なら、「東京都新宿区 廃業届」と検索します。

また、書類は保健所にも置いてあるので、可能なら取りに行ってもいいでしょう。

書式の例

下記は、東京都新宿区の廃業届のテンプレートです。

http://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000045528.pdf

こちらの用紙に記入した場合の見本はこちらです。

東京都新宿区の廃業届

微妙に形式は異なれど、内容はほとんど同じなので、他の地域の方も参考にしてください。

何を参考に記入すればいいの?

営業許可の番号などがわからない場合は、食品営業許可証を参考にして書き写しましょう。

警察への届け出

開業時、警察署に酒類提供飲食店営業営業開始届出書を提出していた場合は、警察署に廃止届出書を提出し、届出認定書を返還しなければなりません(※4)

一方、開業時に警察署の風俗営業許可を取得していた場合は、警察署に返納理由書を提出し、風俗営業許可証を返還する必要があります(※4)

いずれも、店舗の所在地を管轄する警察署に提出しましょう。

※4
届出認定書や風俗営業許可証がみつからない場合は、紛失届を提出しましょう。まずは警察署の窓口で相談してください。

提出期限

廃止届出書と返納理由書は、いずれも廃業日から10日以内に提出してください。

期限を守らなかった場合、30万円以下の罰金を科される可能性があります。

さらに、行政処罰の対象になる場合もあるので注意してください。

提出期限を過ぎてしまったら、速やかに警察署に連絡しましょう。

提出方法

原則、持参して提出します。
郵送を希望する場合は警察署に問い合わせてみましょう。

書類の入手方法

書式は県警によって異なります。

検索し、各県警のホームページから書類をダウンロードしてください。

たとえば東京都の場合、「警視庁 酒類提供飲食店営業 廃止届出書」「警視庁 返納理由書」などと検索しましょう。

なお、書類は警察署に置いてあるので、直接取りに行くこともできます。

書式の例

下記は、警視庁の深夜酒類提供飲食店営業の廃止届出書のテンプレートです。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetsuzuki/fuzoku/shinsei_fuei.files/fuei416379_1.pdf

こちらの用紙に記入した場合の見本はこちらです。

深夜酒類提供飲食店営業の廃止届出書

また、警視庁の風俗営業の返納理由書のテンプレートはこちらです。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetsuzuki/fuzoku/shinsei_fuei.files/fuei2428.pdf

見本はこちらです。

風俗営業の返納理由書

形式は各地域で異なれど、内容は似ているので、他の地域の方も参考にしてみてください。

何を参考に記入すればいいの?

廃止届出書に記入する際は、届出認定書を参考にすると楽に書き進められると思います。

また、返納理由書に記入する際は、風俗営業許可証を参考に書き写しましょう。

税務署への届出

所轄の税務署に個人事業の開業・廃業等届出書を届け出る必要があります。

また、従業員に給与を支払っている場合は給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書が必要です。

さらに、青色申告を行っている場合は所得税の青色申告の取りやめ届出書も提出しなければなりません(※5)

さらに、消費税の課税事業者の場合は消費税の事業廃止届出書も必要です(※6)

※5
青色申告とは、店の経理を帳簿につけ、その記録をもとに所得申告をすることをいいます。

※6
課税事業者とは、基準期間の売上げが消費税を除いて1000万円以上の事業者のこと。

提出期限

届け出によって異なるので、下記の表にまとめました。

届け出提出期限
個人事業の開業・廃業等届出書 廃業日から1ヶ月以内
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 廃業日から1ヶ月以内
所得税の青色申告の取りやめ届出書 青色申告をやめる年の翌年3月15日まで
消費税の事業廃止届出書 できるだけ早めに

提出方法

持参もしくは郵送で提出しましょう。

書類の入手方法

各書類は、国税庁のホームページからダウンロードできますし、税務署の窓口にもあります。

いずれも全国共通の書類です。

何を参考に記入すればいいの?

こちらも表にまとめました。

届け出記入するうえで参考となるもの
個人事業の開業・廃業等届出書 個人事業の開業届出書
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 給与支払事務所等の開設届出書
所得税の青色申告の取りやめ届出書 確定申告関係の書類
消費税の事業廃止届出書 税務関係の書類

なお、いずれも個人番号欄にマイナンバーを入力する必要があります。

都道府県税事務所への届出

店舗所在地を管轄する都道府県税事務所に個人事業の廃止を届け出る必要があります。

届出の名称は都道府県によって異なるので注意してください。

たとえば、東京都の場合は事業開始(廃止)等申告書、埼玉県の場合は事業開業・休業・廃業報告書といいます。

提出期限

期限は自治体によって異なります。

たとえば東京都の場合、廃業日から10日以内に届け出る必要があります。

提出方法

持参もしくは郵送で提出しましょう。

書類の入手方法

書式は自治体によって異なります。

インターネットで検索し、各自治体のホームページから書類をダウンロードしましょう。

たとえば東京都の場合、「東京都 都道府県税事務所 廃業」などと検索すればいいと思います。

検索してもわからない場合は、都道府県税事務所に問い合わせてみましょう。

書類は各自治体の税務課の窓口にも用意されています。

書式の例

下記は、東京都の事業開始(廃止)等申告書のテンプレートです。

http://www.tax.metro.tokyo.jp/shomei/jigyou_shinsei.pdf

また、記入例もこちらを参照ください。

http://www.tax.metro.tokyo.jp/shomei/jigyou_shinsei_ex.pdf

何を参考に記入すればいいの?

個人事業の開業届出書が参考になるでしょう。

なお、マイナンバーの記載が必要な場合もあるので注意してください。

日本年金機構への届出

従業員を雇用し、健康保険・厚生年金保険・雇用保険のいずれかに加入している場合は、店舗所在地を管轄する日本年金機構の事務所に下記の書類を届け出る必要があります。

  • 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届
  • 雇用保険適用事業所廃止届の事業主控(※7)

※7
公共職業安定所(ハローワーク)に雇用保険適用事業所廃止届を提出すると、事業主控えをもらえるので、これを提出します。雇用保険適用事業所廃止届については、このあと「公共職業安定所への届出」のところで詳しく説明します。

提出期限

廃業日から5日以内に提出しましょう。

提出方法

持参か郵送で提出できます。

書類の入手方法・記入例

健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届は、全国共通の書類です。

詳細についてはここで説明されています。

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/jigyosho/20150407.html

書類のテンプレートはこちらです。

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/jigyosho/20150407.files/kousei78.pdf

また、記入例もこちらに載っています。

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/jigyosho/20150407.files/0000002411.doc

書類は、日本年金機構の窓口にも用意されています。

何を参考に記入すればいいの?

健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届を記入するにあたり、保険加入時の控え書類が参考になると思います。

労働基準監督署への届出

従業員を雇用し、労働保険(雇用保険、労災保険のいずれか)に加入している場合、労働保険確定保険料申告書を届け出る必要があります。

下記のうちいずれかの機関に届け出てください。

  • 店舗所在地を管轄する労働基準監督署
  • 店舗所在地を管轄する都道府県労働局
  • 全国の銀行や信用金庫(地域問わずどこでも可)、郵便局

提出期限

廃業日の翌日から50日以内に提出してください。

提出方法

持参もしくは郵送で提出してください。

書類の入手方法

申請書は毎年厚生労働省より郵送されます。
手元にない場合は、店舗所在地を管轄する労働基準監督署に連絡し、郵送してもらいましょう。

書式の例

下記URLを開くと、「平成26年度 労働保険 年度更新 申告書の書き方」というパンフレットを見ることができます。

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/h25/dl/koyou-00.pdf#search='労働保険確定保険料申告書'

このうち、13ページの「事業を廃止した場合」をご覧ください。

何を参考に記入すればいいの?

労働保険加入時の書類の控えが参考になるでしょう。

公共職業安定所への届出

従業員を雇用し、雇用保険に加入している場合、店舗の所在地を管轄する公共職業安定所に以下の書類を届け出る必要があります。

  • 雇用保険適用事業所廃止届(この事業主控えを日本年金機構に提出します)
  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 雇用保険被保険者離職証明書

提出期限

届け出によって異なるので、下記の表にまとめました。

届け出提出期限
雇用保険適用事業所廃止届 廃業日から5日以内
雇用保険被保険者資格喪失届 廃業日の翌日から10日以内
雇用保険被保険者離職証明書 廃業日の翌日から10日以内

提出方法

持参・郵送(書留)・電子申請で提出しましょう。
電子申請なら、インターネット上の手続きで届け出可能です。

書類の入手方法

雇用保険適用事業所廃止届・雇用保険被保険者資格喪失届は、いずれも全国共通の書類です。

下記のページからダウンロードできます。

一方、雇用保険被保険者離職証明書はダウンロードできません。

3枚複写の専用用紙なので、公共職業安定所の窓口でもらいましょう(雇用保険適用事業所廃止届・雇用保険被保険者資格喪失届も公共職業安定所に用意されています)。

何を参考に記入すればいいの?

こちらも表にまとめました。

届け出記入するうえで参考となるもの
雇用保険適用事業所廃止届 雇用保険適用事業所設置届
雇用保険被保険者資格喪失届 雇用保険被保険者資格取得届
雇用保険被保険者離職証明書

ちなみに、雇用保険被保険者資格喪失届と雇用保険被保険者離職証明書には、マイナンバーを記入する必要があります。

その他の届出

地域によっては、市町村役場にも廃業届を提出しなければなりません。

詳しいことは、役場に問い合わせてみましょう。

また、飲食店組合や商工会議所に所属している場合は、その事務所に廃業の連絡をしましょう。

廃業の理由によっては、経営を続けるための相談に乗ってもらえることもあります。

事業主の死亡により廃業した場合の届出

事業主の死亡により廃業した場合、相続人(※8)が廃業の届け出や手続きを代行しなければなりません。

この場合、届け出の際に、亡くなった店主との関係を示す書類(戸籍謄本や住民票など)の提示を求められる可能性があります(事前に届け出先に確認しておきましょう)。

また、事業主の死亡により廃業する場合、基本的な届け出は同じですが、一部、書類の書き方や提出期限が異なります。

また、追加で必要となる書類もあるので説明していきましょう。

※8
一般的に、亡くなった人の配偶者・子ども・孫・親・兄弟姉妹や、その子どもなどが相続人となることが多いです。相続人を確認したい場合は、行政書士や弁護士に相談しましょう。

警察署への届け出(事業主死亡の場合)

廃止届出書と返納理由書の、廃業の理由を記す欄に、「店主死亡による閉店であること」を明記しましょう。

都道府県税事務所への届出(事業主死亡の場合)

都道府県税事務所への提出期限が長めに設定されている場合があります。

たとえば東京都の場合、廃業日から10日以内に事業開始(廃止)等申告書を届け出る必要がありますが、死亡による廃業の場合は死亡の日から30日以内に提出すればOKです。

税務署への届出(事業主死亡の場合)

課税事業者だった場合は、店舗所在地を管轄する税務署に個人事業主の死亡届出書を追加で提出する必要があります。

提出期限

明確な期限はありませんが、できるだけ早めに提出しましょう。

提出方法

持参もしくは郵送で提出しましょう。

書類の入手方法

個人事業主の死亡届出書は全国共通の書類です。

詳細についてはここで説明されています。

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_07.htm

また、テンプレートはこちらです。

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/1461_07.pdf

なお、書類は税務署の窓口にもあります。

原状回復工事のトラブルを避けるために知っておきたい注意点

貸店舗の場合、廃業時は店舗を借りたときと同じ状態にして、貸主に返す必要があります。

店舗を元の状態に戻す工事を原状回復工事といいます。

この原状回復工事ですが、工事の範囲や期間などで貸主とトラブルになることが少なくありません。

そこで、ここでは原状回復工事のトラブルを避けるために知っておきたいことをまとめています。

原状回復工事の費用は誰が負担するの?

通常、原状回復工事の費用は借主が負担します。

ただし、賃貸借契約書に条件が定められている場合はその条件に従います。

原状回復工事はどこまでする必要がある?

借主が持ち込んだ設備や家具は、原則としてすべて取り除かなければなりません。

また、傷みや汚れを「どこまで修復するか」については、賃貸借契約書で定められていることが多いです。

よくあるケースとして、使用年数や使用方法に関わらず、「元通りに修復しなければならない」というもの。

この場合、経年劣化(※9)による汚れや傷みについてもすべて修復する必要があります。

一方、原状回復工事の範囲について賃貸借契約書で定められていない場合は、国土交通省のガイドラインを参考にしましょう。

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

いずれにせよ、賃貸借契約書を確認したうえで貸主と相談し、「どこまで原状回復工事が必要なのか」、お互いに納得してから工事の計画を立てましょう。

※9
経年劣化とは、年月が経過したことによる自然な劣化のこと。たとえばドアパッキンのすり減りや窓ガラスのくもりなどは経年劣化にあたります。

原状回復工事の対象とならない部分とは?

原状回復工事の対象とならない部分があります。

例)

  • 借主が備付けの設備の修理・改善のために取付けた部分
  • 借主が貸主の承諾を得て増築した部分

このように、建物から取り外すことが困難なもの、多額の費用がかかるものについては取り除かずに済む場合があるので、貸主と相談しましょう。

工事期間中も家賃を支払わなければならない?

原状回復工事を行う期間については、下記の2パターンがあります。

  • 契約期間中(明渡しまで)に行う
  • 契約終了後(退去後)に行う

こちらについても、賃貸借契約書で定められていますので、契約書を確認してください。

しかし、貸店舗の場合、「契約期間中(明渡しまで)に工事を行う」パターンが圧倒的に多いです。

この場合、契約期間中に原状回復工事を終えなければなりません。

当然、工事期間中も賃貸料を支払う必要があります。

一方、「契約終了後(退去後)に工事を行う」パターンなら、工事期間中の賃貸料は発生しません。

工事を行う業者が決められていることもある?

契約内容によっては、原状回復工事を行う業者が指定されている場合もあるので、必ず賃貸借契約書を確認しましょう。

また、契約書に記載されていなくても、念のため貸主に「指定の業者はないか」と確認をとってください。

あなたが業者を選定する場合は、複数の業者に相談して見積もりをとり、比較検討して決めましょう(見積もりは無料)。

料金は工事内容によって変動しますが、1㎡あたり約5000~8000円が目安です。

見積もりの際に注意すべきこと

原状回復工事の見積もりの際に注意すべき点を紹介します。

  • 見積もりの際は、必ず工事業者のスタッフに現場へお越しいただきましょう(貸主にも立ちあってもらったほうが無難)
  • どこまで原状回復させたいのか、明確に業者へ伝えましょう(事前に貸主と確認を済ませておく)
  • 事前に開業時の工事関係の書類を準備しておきましょう(必要に応じて業者に確認してもらう)
  • 店舗や住宅が隣接している場合、時間帯によって工事が困難です。工事可能な時間帯と希望の工事日程を業者へ伝えましょう

工事について重要な取り決めをするときは、貸主に立ち会ってもらったほうが無難です。

立会が難しい場合は、工事範囲や日程など、細かいことまで貸主に知らせておくようにしましょう(できれば書面やメールなど記録が残るもので)。

工事費の工面が難しい場合は?

工事費を工面するのが難しい場合は、貸主に相談してみましょう。

開業時、スケルトン状態(※10)で借りた店舗でも、貸主次第で居抜き物件(※11)として明け渡しできるかもしれません。

居抜き物件として明け渡せれば、工事費を大幅に節約できます。

また、保証金(※12)を工事費に充当できる可能性もあります。

※10
壁紙・家具・設備がまったくない状態のことをスケルトン状態といいます。

※11
居抜き物件とは、前の借主が設置した壁紙やキッチンなどの内装・設備がそのまま残されている物件のこと。家具や食器類も残っているケースがあります。

※12
ここでいう保証金とは、「賃料の未払いなどに備えて借主が貸主に預入れるお金」のことです。たとえば、未払いの賃貸料にあてたり、建物の修理費として使用します。賃貸借契約の終了後に保証金が残っている場合は、借主に返還されます。

店舗を居抜き物件として引きわたす場合も原状回復工事が必要?

これは居抜き契約のパターンによります。
居抜き契約には次の3つのパターンがあります。

  • 1現在の借主が店舗を借りたまま、新しい借主に貸す=転貸(※13)
  • 2貸主と現在の借主との賃貸借契約をそのまま新借主が引き継ぐ=譲渡(※13)
  • 3貸主と現在の借主との賃貸借契約を終了させ、新借主と貸主で賃貸借契約を結ぶ

このうち、いずれのパターンになるかによって、原状回復義務が異なります。

※13
転貸と譲渡を無断で行うことは、民法で禁じられています。貸主の承諾なしに行うと、最悪の場合、一方的に賃貸借契約を解除されてしまいます。必ず事前に貸主に相談し、承諾をもらいましょう。そもそもの賃貸借契約で転貸と譲渡が禁止されていることもあるので注意してください。

現在の借主が店舗を借りたまま、新しい借主に貸す場合(転貸)

このパターンでは、貸主と元の借主との賃貸借関係は続いています。

そのため、新しい借主に転貸する時点で原状回復工事を行う必要はありません。

そのまま新しい借主に明け渡しましょう。

そして、貸主と現在の借主との賃貸借契約終了時に原状回復工事をすることになります。

工事費の負担(配分)については、現在の借主と新しい借主の間で決めておきましょう。

貸主と現在の借主との賃貸借契約をそのまま新借主が引き継ぐ場合(譲渡)

この場合、新しい借主は、貸主と現在の借主との賃貸借契約をそのまま引継ぎます。

原状回復義務についても現在の借主と同じ義務を負います。

もし、「契約終了後はスケルトン状態で明け渡す」という契約なら、現在の借主が設置した設備も含めて撤去しなければなりません。

また、現在の借主が残した汚れや傷みも修復しなければなりません。

工事費を分担したい場合は、事前に元の借主と話し合っておきましょう。

新しい借主と貸主で賃貸借契約を結ぶ場合

このパターンでは、貸主と現在の借主の賃貸借契約は終了するので、原則として、その時点で契約にのっとった原状回復工事が必要です。

しかし、新しい借主がすでに決まっており、現状のままの使用を希望している場合は、そのまま店舗を明渡すことができます。

ただし、貸主の承諾が必要です。

居抜き物件の場合、保証金はどうなる?

保証金についても、3パターンのいずれかによって異なります。

  • 1転貸の場合
  • 2譲渡の場合
  • 3新しい賃貸借契約を結ぶ場合

転貸の場合

転貸時には保証金は返還されません。

貸主と現在の借主との賃貸借契約が終了する際に、契約にのっとって充当や返還が行われます。

譲渡の場合

原則的には、現在の借主が納めた保証金は現在の借主のものです。

現在の借主から新しい借主へと賃借権がうつった時点で、残りの保証金が現在の借主に返還されます。

現在の借主と新しい借主との間で保証金相当額の授受があったり、保証金返還請求権(※14)の譲渡があったなど、特段の事情がある場合のみ、貸主は現在の借主の保証金をそのまま新しい借主の保証金として扱うことができます。

※14
賃貸借契約終了後、保証金の返還を貸主に請求できる権利のこと。

新しい賃貸借契約を結ぶ場合

現在の借主との契約終了時に保証金が返還されます。

廃業に向けて準備すべきことまとめ

廃業に関する届け出や原状回復工事以外にも、やるべきことはたくさんあります。

ここでは、廃業に向けて準備しておきたいことをまとめました。

賃貸店舗の解約申入れ

原則として、「退去予定日の3ヶ月前までに貸主に解約を申入れる必要がある」と民法で定められています。

賃貸借契約書に別の取り決めがあれば、それに従いましょう。

従業員への廃業告知

閉店を理由に従業員を解雇する場合は、少なくとも30日以上前に通知しなければならないと労働基準法で定められています。

残り30日を過ぎて解雇を伝えた場合、過ぎてしまった日数分の平均賃金(※15)を支払わなければなりません。

たとえば、廃業の20日前に解雇を伝えた場合、10日分以上の平均賃金を支払う必要があります。

※15
平均賃金とは、直前の3ヶ月間に支払われた賃金の総額を、3ヶ月間の総日数で割った金額のこと。

取引先への連絡

仕入先など取引先への連絡時期は、法律では規定されていません。

ただし、取引先との契約で解約期間が決まっていたら、それに従って連絡しましょう。

電気・ガス・水道・通信回線の利用停止連絡

閉店日が決まりしだい、各社に連絡をしましょう(利用停止の作業に立ち合わなければならない場合もあるので、早めに連絡したほうがいいでしょう)。

なお、月途中で利用を停止する場合は、日割り計算で料金を請求されます。

お客さんへのお知らせ

こちらも法的なルールあるわけではありませんが、閉店が決まりしだいお知らせするようにしましょう。

おまけ 廃業した年も納税は必要?

廃業しても、その年の国税所得税消費税など)や都道府県民税個人事業税)の納税義務は残ります。

年の途中で廃業した場合、廃業してすぐに確定申告をするわけではありません。

通常の確定申告と同じように、所得税は翌年3月15日、消費税は翌3月31日までに行いましょう。

一方、都道府県民税(個人事業税)は廃業から1ヶ月以内に申告しなければなりません(店主死亡による廃業の場合は4ヶ月以内)。

国税・都道府県税ともに、申告を忘れたり遅れたりすると追徴課税の可能性があります。

くれぐれも期限を守るようにしましょう。

なお、事業の廃止後に経費として認められるものもありますし、減税措置もあります。

節税の仕方について、くわしくは税理士に相談しましょう。

まとめ

廃業の手続きはあまり気が進まないものです。

しかし、ひとつひとつ誠実に対応することで、円満に閉店日を迎えることができます。

最後に、廃業する際のスケジュールを時系列でまとめました。

参考にしてください。

廃業3ヶ月前
  • 店舗貸主に退去を伝える
廃業1~2ヶ月前
  • 原状回復工事を依頼する業者を選ぶ
  • 原状回復工事の範囲を確認する
  • 原状回復工事の日程を決める
  • 従業員に廃業のため解雇することを伝える
  • お客さんに閉店を伝える
  • 取引先に廃業と解約を伝える
  • 電気・ガス・水道・通信など、利用している業者に廃業と解約を伝える
廃業後
  • 原状回復工事を行う
廃業日から5日以内
  • 公共職業安定所に「雇用保険適用事業所廃止届」を提出
  • 日本年金機構に「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」「雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)」を提出
廃業日から10日以内
  • 保健所に「廃業届」を提出し、「食品営業許可証」を返還する
  • 警察署に「廃止届出書」を提出し、「届出認定書」を返還する
  • 警察署に「返納理由書」を提出し、「風俗営業許可証」を返還する
  • 都道府県税事務所に「個人事業を廃止した旨」を届け出る(都道府県によって期日が異なります)
廃業日翌日から10日以内
  • 公共職業安定所に「雇用保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者離職証明書」を提出
廃業日から1ヶ月以内
  • 税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出(「消費税の事業廃止届出書」もできるだけ早めに提出)
  • 税務署で都道府県民税(個人事業税)の申告をする
廃業日翌日から50日以内
  • 労働基準監督署に「労働保険確定保険料申告書」を提出
翌年3月15日まで
  • 税務署に「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出
  • 税務署で所得税の申告を行う
翌年3月31日まで
  • 税務署で消費税の申告を行う

このほか、地域によっては別の手続き・届けが必要な場合もあります。

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