失業からの家賃滞納。住宅手当緊急特別措置事業で難を逃れた話【体験談】

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妻の病気、私の失業で家賃滞納の危機が訪れてしまいました。

そんな時救ってくれたのは、あまり縁がないと思っていた「行政」。

私の中で「お役所=督促」のイメージが変わった出来事です。

体験者の情報

氏名:大山 健(仮名)
年齢:60歳
滞納期間:1カ月
家賃:4万円

妻が突然難病になる

私は地方の小さな町に妻と二人で住んでいました。

ある雨の日に妻が転んだ拍子に頭を打ち、大騒ぎになります。急いで病院に運びレントゲンなどの精密検査を受けたところ、頸椎に問題があることが判明しました。

医者から、進行状況によるが寝たきりになる可能性もある難病であると言われました。

そこで専門の病院を探して、通院しやすい現在の自宅に急きょ引っ越しをしたのです。

新しい病院で詳しく精密検査を受けた結果、症状の進行は思ったより遅く、すぐに手術や入院する必要はないということでした。

失業、そして家賃滞納

妻の病気は厚生労働省が認定している「特定疾患治療研究対象疾患」(いわゆる難病)の一つで、医療費の公費負担を受けることができるはずでした。

しかし妻の病状では、難病かどうかを決める「認定審査会」の基準を通る症状が出ていないため、医療費の公費負担はされないと病院から説明がありました。

また妻を安心して任せられる病院の近くに引っ越すことを最優先させていたので、私はそれまでの仕事を辞めなければなりませんでした。

生活のために新たな土地で次の仕事を探す必要があります。しかし、年齢的なこともありなかなか仕事は見つかりません。

最初のうちは少しの蓄えと失業保険で何とか生活をしていましたが、次第に蓄えも底が見え始めました。

そしてついに家賃の支払いが出来ない状態となってしまいます。

基本的には前家賃なので、すぐに督促などはありませんでしたが、このまま仕事がなければ督促どころか追い出される可能性もありました。

市の広報紙に光を見出す

そんな時、市の広報紙で「住宅手当緊急特別措置事業」というのを目にしました。

それは「離職者で就業能力及び就労意欲があるのに住宅を失っている、又は失う恐れのある人」を対象に、賃貸住宅の家賃上限4万円を住宅手当という形で支給するという事業でした。支給期間は原則6ヶ月です。

我が家の家賃は4万円でしたから認可されれば全額支給になります。

それで早速市役所に行き、福祉課でその申請を行うことにしましたが、申請には多くの時間と書類が求められました。

住宅手当の支給対象者の条件は以下の通りです。

  • 基本的に離職者であること
  • ハローワークに求職申し込みをしていること
  • 住宅を喪失しているか又は恐れがあること
  • 生計を同一とする同居者との収入の合計額が月額17万以下であること
  • 合計の預貯金が100万以下であること
  • 申請者及び同居人が暴力団関係者でないこと

私はこれらの条件をすべて満たしていました。

条件をクリアし、申請が認められると、さらに以下の書類の提出が必要となります。

  • 本人確認書類(免許書やパスポートなど)
  • 離職証明書
  • 本人および同居人の収入証明書及び預金通帳
  • 入居している部屋の賃貸契約書と入居証明書

しかし、これらの書類をすべて準備するのは大変です。

季節は夏。毎日暑い中、何度も市役所に足を運び、担当者と打ち合わせをし、不動産や大家さんのところにも行きます。しかし家を追い出される危険があったので、とにかく一生懸命に取り組みました。

支給確定!

初めて市役所に相談に行ったのが7月中旬。それから数々の添付書類を準備し、8月初旬にようやく申請書を提出しました。

最終的に認可が下りたのは8月末です。

実際に支給されるのは9月末ですが、申請月から支給の対象となるので9月末には8月と9月分が支給されることになりました。

ただし、現金支給ではなく大家さんのところへ市役所から直接振り込まれます。それは当然ですよね。家賃を払えないような人に現金渡していたら何に使うか分かりませんからね。

支給中の活動が大変

ただし支給が決まったからと言って、遊んではいられません。

支給確定の連絡を受けて市役所に行くと、担当の支援員の方から支給中の就職活動と報告義務についての説明がありました。

それによると、支給中は以下のようなことが義務付けられるのです。

  • 毎月1回以上ハローワークにて職業相談を受けること
  • 毎月2回以上住宅・就労確保支援員の支援を受けること(面談して就職活動の状況報告)
  • 原則週1回以上、求人先へ応募を行うかもしくは求人先の面接を受けること

これを一つでも怠ると、即支給停止となります。

この活動が大変でした。まず、ハローワークで求職の申し込みをしたことを、指定された書類に証明してもらいます。

内容はその求職に対していつ履歴書を送ったのか、その結果はどうだったのか、面接まで行くことができたならいつ行ったのか、その結果はどうなったかを細かく記載するのです。

この書類を2週間に1回の面接の時に提出しなければなりませんでした。

そこで、毎週のようにハローワークに行き、求職申し込みをしては履歴書を送り、面接を受けられるようであれば赴き、不採用ならまた翌週もと同じことを繰り返します。

ハローワークの相談員は15名ほどおられましたが、そのほとんどの方と顔見知りになるほどに通いました。

誠実に生きればいつかは報われる

住宅手当の支給は、就職が決まると打ち切りになるので、就職がどの時点で決まるかが問題になります。

しかし私の場合、幸か不幸か就職が決まらないまま、支給期間の満期である半年が過ぎました。

すると6ヶ月目に指導員の方が「あなたは誠実に就職活動も行い、面接も毎回約束した曜日に来られるので、さらに3カ月の延長の手続きができるように手配したいと思いますので再度申請をしませんか」と申し出て下さったのです。

就職のめども立っていなかったので、それは願ってもないことでした。

早速、申請を行うことにしましたがそこは役所仕事です。また最初から同じ書類を準備して提出しなければなりませんでした。同じ書類の使いまわしはできないのだそうです。

こうしてまたハローワーク通いが続くことになります。

それでも3カ月の延長が認められたおかげで、合計9ヶ月間の支給受けることが出来ました。

その後、仕事のめども立ち、私の年金の支給も始まりました。現在はなんとか生活も安定してきています。

今回は妻の病気という思わぬ出来事から生活や環境が一変して大変な思いをしましたが、誠実に生きていれば必ず良いことがあるということを改めて感じました。

そして、これまで役所仕事にはあまり良いイメージを持っていませんでしたが、私たちの生活が行政に支えられていることを知らされたのです。

でもまさか自分の窮地を救ってもらうとは思ってもみなかったので、びっくりしています。
助けてくれた行政に心から感謝です。

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