起業直後の資金繰り。中小企業制度融資と個人融資で危機一髪【体験談】

一介の営業マンに過ぎなかった私が、取引先の社長からの誘いで会社を作ることになりました。

しかも売り出す商品は、意外にも大ヒット商品になりそうな予感。

ところが銀行から融資を受ける際に時間がかかり、取引先への必要な支払いが滞りそうになってしまいます。

そこで急遽友人から借金をした体験談です。

体験者の情報

名前:飯田 一義
性別:男
職業:会社経営者
年齢:40歳
債権者:友人
金額:300万円
時期:2011年4月~

自然派の消臭剤を売り出す

2010年4月、私は総合商社の営業職に就いていました。

製造者もしくは販売元から持ち込まれた商材を、会社のネットワークを使って販売方法や販売先などのプランを立てて販売するという業務です。

ある時、得意先の社長から、自然の素材で作られたという「除菌脱臭液」を紹介され、「君の所で家庭用商品として売りだしてくれないか」と頼まれました。

その社長と付き合いのある製造委託会社が開発した液剤で、もともとは車のディーラーなどに業務用として卸しているものだそうです。その商品を、家庭用としてリメイクし売りだしてくれる会社を探しているといいます。

私の会社では、すでに商品となっているものは取引をしますが、新しくオリジナル商品を製造するということはしません。

そのことを説明すると社長は、私が個人でこの液剤を使ったオリジナル商品を作り、販売しないかと言うのです。

私はこの仕事を請け負う場合のリスクを考えてみました。

個人で動くことになると、現在勤めている会社との間に支障をきたすかもしれません。しかしその場合は、妻が社長ということにすればいいでしょう。

さらに採算が取れるのかどうかも考えてみました。

この「自然派除菌脱臭液」は、原価からざっくりと計算しても、500mlで2000円、家庭用としは高額です。

価格が高いとなれば、売れる商品にするには、それなりのデザイン性が求められます。売れる売れないは「商品特性」と「デザイン」にかかっているので、商品化する前に緻密なリサーチも必要でした。

そこで私はまずデザインの発注をし、リサーチ会社にも依頼して、商品の魅力がどこまで市場にアピールするのか試算してみました。その結果、売れると判断したので、本格的に着手することにしたのです。

私は香料入りの商品も試作するなども手配して、準備を進めました。

滑り出しは上々

社長からの提案を受けてから8ヶ月後、この「自然派除菌脱臭液」は家庭用でも売り出せる商品に仕上がりました。

私としては会社を辞めず、この仕事は妻に任せるつもりでいました。

妻は広告代理店の営業畑にいましたから、販路は大手百貨店を始めかなり持っていたのです。

妻には試作段階で消費者の反応などをリサーチするとともに、打診営業をかけてもらっていました。すると予想以上の好感触だったのです。

世の中が「自然派の衛生的な商品」を望む傾向にあったのでしょう。

またデザインに投資したのも功を奏し、大手百貨店などからも大規模な発注を受けることになりました。

それは良かったのですが、このまま個人事業でやっていくのは限界があります。

まだ知名度のない商品を大手百貨店に新規に卸す時は、通常口座を開いた商社を通して行われます。

そこでまず卸には、この自然派除菌脱臭液を紹介してくれた会社を通すことにしました。この会社は、規模は小さいですが百貨店との付き合いがあったのです。

今回はこの会社を通して「個人事業主から購入した商品を、百貨店に卸す」という形を取ってもらいました。

しかし、今後大きな取引をするには、やはり私自身が株式会社として起業する必要があります。

大型発注を受ける

そんな時、「ウェットティッシュタイプにしたものがあれば、定期的に取引がしたい」という会社が現れました。

全国展開の遊戯施設を持つアミューズメント会社が、景品として取り扱いしてもいいと言ってくれたのです。しかしそれを受注するには多額の資金が必要です。

「今すぐ受注することはできないが、仮発注をかけてもらえないだろうか」とアミューズメント会社にお願いすると、「受注するかしないか、3ヵ月以内に決めてほしい」と言われました。

それ以上かかるようであれば、他社の商品を起用するしかないと言うのです。

送られてきた仮発注書と発注計画書を見ると、またとないチャンスだということは分かります。

しかし、初めに製造したボトルタイプの追加生産もしなければなりません。ボトルタイプを売って入ってくるお金は、当面全て追加生産の費用となるでしょう。

従って、ウェットティッシュタイプの製造費には回すことができません。

資金繰り表などのマネーフローをつくると、今必要なのは400~600万円

最低でも400万円はないと、ウェットティッシュタイプを製造することはできません。

実際は280万で製造自体は可能なのですが、別の問題があるのです。

発注してきたアミューズメント会社は社会的な信用がありますが、こちらは信用度が低い会社です。

ですからこちらは製造費などを先払いしなければならないのです。

今のところ入金よりも、当方の先出し資金が大きいのです。

この先何かアクシデントが起きた場合、半年後にはボトルタイプの追加生産とウェットティッシュタイプの追加生産が重なって資金が足りなくなります。

その場合を考えて、やはり600万円ぐらいはあった方がよいでしょう。

そこで私が頼ることにしたのが創業者資金です。他の資金よりも借りやすいはずなので、申し込むことにしました。

ベンチャーにやさしい中小企業制度融資

創業に関わる融資は、「日本政策金融公庫」と「中小企業制度融資」が有名です。

私はかなり融通が利いて、利用しやすいと思われた「中小企業制度融資」に申し込むことにしました。

なぜ日本政策金融公庫は諦めたかというと、こちらの制度では、原則として手元にある自己資金が融資してもらう資金の3分の1、もしくは半分は必要と言われているのです。

例えば600万円の融資を希望するならば、350万円ほどの自己資金を、現金で持っていることが必要でしょう。

すでに支払ってしまっている事業資金、いわゆる「先だし資金」は、自己資金として扱ってくれません。

ウチにはすでに支払ってしまっているものばかりで、現金で口座に残っているのはごくわずかでした。

一方、中小企業制度融資は「投資」の側面があり、将来性に対して融資するものなので、自己資金が少なくても申し込めます。

この投資によって事業が成功すれば、税金が地域に落とされ、雇用なども発生するかもしれません。地域活性化も、この融資の目的の一つなのです。

また、普通は新規事業にはどこも怖がってお金は貸しませんが、そういう事業にもチャンスを与えるという目的もあります。

しっかりとした事業計画があり、その将来性をアピールすれば借りられる可能性は高く、融資を申請する前に使った「先だし資金」までも、財産と見なしてくれる場合も多いようです。

また中小企業制度融資は信用保証協会法に基づいて設立されています。

信用保証協会とは中小企業が金融機関から融資を受ける際に、その負債を保証してくれる公益法人で、この保証があれば中小企業制度融資を受けることができるのです。

ただし、通常は保証協会の保証枠は借入金額の90%といった限度が設けられており、残り10%は銀行のプロパー融資(単独融資)ということになります。

こうなると大変ハードルが高く、銀行が融資を行うのとほとんど変わりません。

しかし「創業融資」に限っては100%の保証協会の信用保証付きとなります。

この場合は銀行がある程度の審査をした後、信用保証協会を説得するという流れになるのです。銀行としては100%信用保証が付くならば、貸したいというのが本音でしょう。

つまり私にとって「個人事業主」から「法人」として起業するこの機会が、創業融資を利用するのに最も有利な時期でした。

しかも長くても2ヶ月で融資決定が下りると聞いていたので、アミューズメント会社が言ってきた3ヶ月の期限には間に合いそうだと思ったのです。

審査に時間がかかりすぎる

事業計画書と資金繰り表、その他当方にとっての武器となるものを揃え、制度融資の申し込みを行いました。

流れとしてはまず銀行に申し込みに行き、そこから商工会で面談を行い、紹介状を取り付け、そして再度銀行へ戻されて、ようやく審査が始まります。

銀行の審査では「個人事業主の事業計画書としては、とても精度が高い」と誉められ、保証協会に話が行くまではスムーズでした。

しかしその後の保証協会の審査に時間がかかってしまいます。

何度も追加の質問や書類提出を求められ、その度に銀行に通う日々が続きました。しかも一つの質問に回答すると、その返事に1週間ほどかかるのです。

保証協会が決断に迷うのは、まだ世の中に出回っていない商材という点があります。ベンチャー的な商材だと、不安なのでしょう。

こうしてあっという間に2ヶ月が経ち、アミューズメント会社へ返事をしなくてはならない期日まであと1ヵ月になってしまいました。

しかも受注した場合は、納品までを逆算すると、当方のタイムリミットはあと2週間しかありません。

今回のオファーは大変いい話ですが、アミューズメント会社にご迷惑をかけないためには、早めにお断りをした方がいいのかと一度は考えました。

しかし創業したばかりでこんないい話が来るのは、普通はありえないことです。宣伝効果もあるし、諦めるにはもったいない話。

しかも妻を代表取締役とした会社も、すでに立ち上げてしまっていました。

危機一髪で友人に救われる

タイムリミットまであと3日という日、銀行から「ほぼ融資の決定は下りましたが、融資額の面で折り合いをつけなければなりません」という知らせが来ました。

融資は650万円で申し込んでいましたが、保証協会は450万であれば保証をつけるというのです。

ここでできないと言えば、融資自体がなくなってしまうかもしれません。金額についてはこれ以上粘らない方が良さそうです。

そこですぐに450万で資金繰りが出来るマネーフローを作成し、銀行に持ち込みました。

しかし融資実行までは、今までの経緯を考えると1ヵ月ほどかかってしまう可能性もあります。

今この時点でアミューズメント会社に「受注できます」と返事し、製造に着手しなければ、おそらく間に合いません。

また「ほぼ融資決定」と言われましたが100%ではありません。大きな賭けなのでずいぶん悩みましたが、受注することにしました。

そうなると、ウェットティッシュタイプの製造費300万円を捻出しなければなりません。

しかし事業計画やマネーフローを見て理解してくれる相手でないと、300万円も貸してくれる人などいないでしょう。

そこで私は、幼馴染の友人を頼ることにしました。

友人は書類等に目を通し、ドル建て年金から契約者貸付を行って貸そうと言ってくれました。

契約者貸付は保険会社の中2日営業日で振り込まれるそうです。

ぎりぎり間に合います。友人には本当に感謝しました。

こうしてアミューズメント会社へ受注の書類を送付し、ウェットティッシュタイプ製造に着手することができたのです。

ようやく融資実行

650万円の融資申込は450万になり、申し込みから3ヶ月半後にようやく融資実行が行われました。

その中から300万円を友人に返済しようとすると、友人は私が見せた資金繰り計画表を覚えてくれていて、「今は150万円だけ返してもらって、残り150万円は後でいい。今後も資金繰りが厳しくなるだろう?」と申し出てくれたのです。

私は、ありがたく好意を受けることにしました。

300万円全て返済できたのは、それから半年後でした。

会社はその後も順調に事業は展開できています。
危機一髪のところを救ってくれた友人には、一生足を向けて寝られません。

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