社会保険料の滞納から差し押さえまでの流れ、延滞金の計算方法、対処法

不景気の昨今、毎月の社会保険料の捻出に頭を抱える経営者は少なくありません。

社会保険とは...

  • 主に健康保険と厚生年金
  • 一部の個人事業を除き、原則すべての事業所が加入しなければいけない
  • 万が一、赤字であっても社会保険料は必ず支払わなければいけない

期日まで支払わなくとも、すぐに業務に支障をきたすわけではないのですが、滞納し続けると、最悪の場合、会社を潰すことにもなりかねません。

「どれくらい滞納するとまずいの?」
「差し押さえもありえるの?」

今回は、社会保険料の滞納から差し押さえに至るまでの流れについて調査してまとめてみました。

社会保険料の滞納は年々増加傾向

社会保険料を滞納している事業所数は、ここ数年増加の傾向を示しています。日本年金機構の業務実績報告書によれば、平成23年度の滞納事業者数は186,805にも上りました。

この数には、「延滞金のみ滞納している事業所」「差し押さえを受けた事業所」の数は含まれていないので、これらを含めるとさらに数が増えるでしょう。

事業者にとって、支払いは社会保険料だけではありません。銀行への返済や仕入れ代金の支払いのほか、他にも必要経費、支払いがたくさんあります。

すぐには影響がでない社会保険料より、ついつい他の支払いを優先したくなる事情があるわけです。

しかし、たとえやむを得ない事情があっても社会保険料の滞納は避けねばなりません

なぜなら、社会保険料の滞納には高金利の延滞金が課されるからです。そして最悪の場合は差し押さえも行われます。

社会保険料を滞納するとどうなるの?

厚生年金の場合、毎月20日頃に各事業所へ「保険料の納入告知書」が送付されます。そして、納付期限は月末です。(例:4月分の納付期限は5月となります)

この納付期限までに納付できなくても、直ちに差し押さえられたり、延滞金を課されることはありません。

納付期限までに納付できなかった場合、納付日から一週間程度、経過した時点で年金事務所から督促状が送付されます。

この督促状に記された期日までに納付しなかった場合、延滞金が発生します。(期日は、本来の納付期限のおよそ3週間後に設定されています。)

差し押さえまでの流れ

督促状が送付されるのと同時に保険料の納付を求める電話がかかってきます。(これを督促と呼びます。)

事業所の資金繰りが厳しく、すぐに払うことが難しい場合は はやめに年金事務所に足を運びましょう。年金事務所の方に現状を訴えるのです。

ここで今後の「納付計画」を立てるのですが、事情によっては分納(分割での納付)が認められる場合もあります。(ただし、滞納分だけが対象ではなく、毎月の保険料+滞納している保険料を分割で納付する内容になることが多いようです。)

督促状が届いても年金事務所に行かず、納付計画も作成しないまま放置した場合、どうなるのでしょうか?

督促状の到着日から約10日後、「財務調査」が行われるようになります。

財務調査では、対象事業所の取引先金融機関の預金残高、所持している債権、不動産などを含めた財産全般などが調査されます。

具体的には、徴収職員が滞納者の自宅や事務所を訪問し、そこで質問や検査が行われます。

これらは、後述する「捜索」との対比で「任意調査」と呼ばれています。(例えば、帳簿の公開を求められたり、有価証券や不動産の有無などを問われたとき、それらへの応答は任意です。)

しかし、意図的な財産の隠匿や虚偽の申し立ては危険です。(罰金や刑罰の対象になります。)

これは滞納者のみならず、滞納者の関係者も対象となります。

「それではほとんど強制ではないか!」と思われるかもしれませんが、正当な理由(はっきりとした基準はありませんが...)がある場合は質問への回答を拒否できることになっています。

何かしらの事情がある場合は、まったく何も話さないでやり過ごすより、徴収職員に理由を話す方が無難かもしれません。

質問・検査の段階で財産を確認できなかった場合、調査は「捜索」の段階へと移行します。この捜索は、先程の調査とは異なり、強制的に行われます

滞納者やその関係者の住居や会社に立ち入り、隅々まで捜索します。金庫や棚の中身まで徹底的に調べます。拒否する権利は一切ありません

捜索によって、滞納分に充当できる適当な財産があれば、差し押さえ処分がなされます。

差し押さえ対象となるのは、

  • 現金
  • 売掛金
  • 預金
  • 借用証書
  • 不動産
  • 有価証券
  • 保険金

(※この他、実質的に滞納者自身に帰属する財産であると認められるものは、第三者の所有物でも差し押さえの対象になります。しかし、第三者の権利を侵害しない範囲で差し押さえられます。)

などが主ですが、滞納者は差し押さえの対象となるものを選ぶことはできません。(ただし、生活必需品が差し押さえられることはありません。)

最後に、「滞納から差し押さえ」までの大きな流れをまとめると、

  • 1支払期日から一週間程度経つと督促状が送付される
  • 2納付計画の作成
  • 3財産調査・強制捜査
  • 4差し押さえ処分

(3) 財産調査・強制調査 ⇒ (4) 差し押さえ処分 は、滞納者が督促状の送付を受けても支払う意思を示さない場合に行われます。(つまり(2)を行わなかった場合)

「支払う意思がない」と判断されるのは、督促状の送付から約10日後です。その間に電話での督促も行われますから、「10日間滞納に気づかなかった」などの弁解は通用しません。

また、仮に(2)の段階で全額を納付できなくても、すぐ差し押さえにはなりません。

(2)の計画を作成しない、または立てた計画どおりに支払わない場合は差し押さえになります。

また、上記の流れは一般的な例です。 悪質な滞納者には、上記の期間より早く差し押さえが執行されることもあります。(税務署は、督促状の送付日から10日以降なら差し押さえを執行できる権利を持っています。)

差し押さえを免れるためにも、督促状が届いた段階で支払いの予定について説明に行きましょう。

ちなみに、差し押さえについて詳しい特集も組んでおりますので、よろしければごらんください。

延滞金について

延滞金は、督促状で指定された期日(本来の納付日からだいたい3週間後)までに完納しなかった場合に発生します。(指定期日の翌日から日割りで計算されます。)

延滞金の利率は以下のとおりです。

  • 最初の3か月:4.3%/年(平成23年)(※)
  • 3か月超の期間:14.6%/年

(※)最初の3ヶ月間は、年7.3%又は毎年定める特定基準割合(各年の前年の11月30日を経過するときにおいて日本銀行が定める商業手形の基準割引率4%を加算した割合)のどちらか低い割合が適用されます。

日本年金機構『日本年金機構の取組み(滞納整理)

「7.3%」もしくは「前年に日本銀行が定める基準割合(平成23年度では4.3%) + 4%」のうち、低い割合が適用されます。

社会保険料の支払いは最優先すべき?

銀行など金融機関への返済が立てこんでいる場合でも、社会保険料の支払いを最優先すべきなのでしょうか?

社会保険料の延滞金と銀行の遅延損害金の利率に大きな差はありません。銀行の遅延損害金もおよそ14%前後です。

しかし、同じ債務でもその性質は異なります。

例えば、銀行の債務を滞納してもすぐに差し押さえられることはありません。銀行には自力執行権はないため、裁判の手続きを経る必要があるのです。

それに対し、社会保険料は国税徴収法にのっとって行われます。そのため、税務署は自力執行が認められており、比較的早い段階で差し押さえを執行できます。

差し押さえまでの時間だけで考えると、社会保険料を優先して支払う方が賢明かもしれません。

→ 【ビジネスローン徹底比較】都市銀行・地銀ノンバンクのレビューまとめ

→ 税金滞納・料金滞納の事例と対処法

この記事の筆者

吉岡 優(仮名)
平成生まれ。法律・経済の分野をメインに活動中。中でも不動産・消費者トラブル関連が得意分野。関連分野の有資格者。

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