なぜ、カード会社は高リスクのリボ払いをやたらと勧めてくるのか?

デパートやコンビニ、銀行、そして街頭でクレジットカード申込みの勧誘を受けたことありませんか?

「マイルが貯められる」

「ポイントが貯まる」

そんな宣伝に惹かれて、カード入会する人も多いでしょう。

「でも、ほとんどの人は一括払いのみの利用だけれど、クレジットカードってどうやって儲けているの?」

「リボ払いをやたら勧めてくるけれど、なんでなの?」

などなど、何気なくクレジットカードを使っていて、このような疑問を持つ人もいらっしゃると思います。

そこで今回は、「クレジットカードがどのような設計で作られているのか?」カード商品ができるまでの過程をクレジットカード会社に勤務されていた女性に伺いました。

これを読めば、もっと賢くクレジットカードを使うことができるかもしれません。

  • 目次
  • クレジットカードの裏側はこうなっていた!
  • すべては会社の利益のため
  • 売れるクレジットカードを作るには?
  • こんなカードは売れない
  • なぜカード会社はリボ払いをすすめてくるの?
  • クレジットカードのキャッシングはただの「おまけ」
  • インタビューを終えて

今回インタビューに答えてくれたのは...

名前:山川 静子(仮名)
性別:女性
勤めていた金融機関:外資系C銀行の子会社「Cカード」
勤めていた期間:2001年~2005年8月

※編集より補足
今回インタビューに答えてくれた山川さん(仮名)が外資系C銀行の子会社「Cカード」に勤められていたのは、2001年~2005年頃のことですので、現在の状況とは異なることもあるかと思います。ご注意ください。

クレジットカードの裏側はこうなっていた!

お話をうかがったのは外資系C銀行の子会社「Cカード」にお勤めだったという山川静子さん(仮名)、46歳。

アメリカの大学でMBAを取得し、金融業界でバリバリ仕事をされてきたキャリアウーマンです。

彼女がCカードにお勤めだった頃、クレジットカードの商品開発をしたり、お客様相談室でクレーム対応をされていたそうです。

今回はクレジットカード商品がどのように作られ、販売されているのかを伺いました。

クレジットカードができるまでのリアルな実態、「リボ払い」を勧める理由、クレジットカード業界の今後の展望まで興味深い話を伺うことができました。

すべては会社の利益のため

― 山川さんはCカードでどんなお仕事をされていたのですか?

私は2001年~2005年まで、C銀行の子会社であるクレジットカード会社「Cカード」で働いていました。

そこで、クレジットカードの商品開発をしていました。また、「お客様相談室」の室長をしていたこともあります。ただし、2009年に会社を辞めているので、現在とはやや状況が異なるかもしれません。

― クレジットカードの商品開発とは、どんなお仕事でしょうか?

新しいクレジットカードを企画して、それをどうやって売り出すか考える仕事です。

クレジットカードは「新規入会者を作ってなんぼ」「お客様に使ってもらってなんぼ」の商品です。

新しいカードが出ると、お客さんは特典や珍しさに魅かれて入会します。でも古くなると使わなくなり、財布の中に入れっぱなしという状態になりませんか?

「カードは3年で使われなくなり、売り上げが減っていく」と言われているんです。だから既存会員を維持するだけでは商売が成り立ちません。

新しい顧客をつかむためには、新しいカードを作る必要があります。

売れるクレジットカードを作るには?

― クレジットカードの商品開発の流れを教えて下さい。

まずは法律に基づいて、審査の基準や限度額などを決めます。

そのうえで「若い人向け」とか「女性向け」といったターゲットを決め、それから売上、目標枚数や利益率などを決めていきます。

たとえば「女性向けのカード」を企画するとしましょう。

最初は顧客のイメージを作り上げるところからはじまります。「女性はあまり高年収を見込めないから、年収は最低200万円以上、年齢は20歳以上」という感じですね。

そして、ターゲットを惹き付けるような特典を付けていきます。

カード利用時にポイントが貯まるしくみがありますが、このポイントと交換する商品は、女性向けならエステ券とか化粧品、美容用品などでしょうか。

女性に人気のあるお店とタイアップし、「カードを使うと割引サービスが受けられる」などの特典を付けてもいいでしょう。

Cカードでもこういうカードを出して、かなり入会者を増やしました。

― どういうカードだと人気が出るのでしょうか?

航空会社のマイレージが貯められるカードは、どこのカード会社も出していますが、人気がありますよね。Cカードでも航空会社や通販会社とタイアップしたカードを作ってきました。

それから一般には売られませんが、特定の企業やグループ専用のカードもよく作ります。

たとえば大手企業とタイアップして、その企業の社員のためのカードを作るんです。大学の同窓会と組んだカードもありました。

― Cカードは外資系で、本社はアメリカですよね。新しいカードを作る際、アメリカ本社の許可は必要ですか?

はい。
日本で話を詰めてからアメリカ本社に持って行って、最終的な判断が下されます。

ただしアメリカ本社は利益をもたらせば何でもOKなのです。

外資系にとって海外支店はいわば植民地なので、本国に利益を還元していれば文句は言いません(笑)。

こんなカードは売れない

― 商品開発で失敗することもありましたか?

ありました。Cカードで「リボルビング(リボ払い)専用カード」を売り出したことがありますが、これは大失敗でしたね。

このカードは外国人の経営陣が企画したもので、デザインだけは凝っていました。カード自体が透けるプラスチックでできているスケルトンカードなのです。

外国人の経営陣は「見た目がオシャレだから、人気が出るのではないか」と思ったようです。

でもリボ払い専用カードですから、返済はリボルビング払いしかできません。

当然、手数料がかかります。
だから人気が出なかったのです。

売り方もひどかったです。
外国人の経営陣は「リボ払い専用ということを表に出さずに売れ!」と指示してきました。

つまり、お客さんから聞かれたらリボ払い専用と言うけれど、こちらからはあえて説明はしないというセールス手法だったんです。

― どうしてリボ払い専用カードだとハッキリ言わないのでしょう?

やはり、リボ払い専用だと売れないからです...。

広告にも「リボ払い」ではなく、「いつでも払い」と書いてありました。リボ払いのことは、商品詳細のところにさりげなく小さい文字で書いてあるだけです。

そのため入会したお客さんから、「リボ払い専用カードだと後から知った!」という苦情がガンガン入ってきました。

このカードはコスト面やシステムにも不備があり、現在は発行中止になっています。

こういうセールス方法を使っているカード会社は他にもあるので、注意してくださいね。

お客さんに、リボ払い専用であることをきちんと説明しないままカード入会をすすめるんです。今思うと不誠実ですよね...。

なぜカード会社はリボ払いをすすめてくるの?

― クレジットカード会社はリボ払いで儲けたいのですか?

はい。

現在のカード会社はどこも「ショッピングのリボ払い・分割払いで儲けていこう」という方針だと思います。だからリボ払い専用カードを作るんです。

クレジットカードは、お店から受け取る利用手数料のほかに、お客さんが支払う手数料で儲けています。

ただし一括払いだと手数料がかかりませんから、カード会社は儲かりません。

手数料のかかるリボ払い・分割払いにしてもらわないと、なかなか利益にならないのです。

― でも日本の消費者はリボ払いが嫌いですよね?

はい。

日本人のカードの支払い方法は「一括払い」が主流です。ですからカード会社はどこも苦戦しています。

現在、どこのカード会社も「あとからリボ」(会計時に一括払いを指定しても、あとからリボ払いに変更できるシステム)の広告キャンペーンをしていますが、本当に困った人しかリボ払いを利用しませんね。

― リボ払いにしたせいで、支払いに苦しむ人もいるようですが?

私も本音を言えば、リボ払いは地獄への第一歩だと思います。

ほとんどのカード会社は、リボ払いの手数料を15%ぐらい取っています。ゴールドカードでも10%切るものがあるかないかです。

リボ払いは買い物をすればするほど、どんどん返済が長期化し、返済額も増えていきます。

高度成長期~バブル時代のようなお給料が上がるご時世なら、リボ払いに設定しても苦しむことはないかもしれません。

でも今はそんなにお給料が上がらない時代。こんな高い手数料を払い続けていたら、いつか支払いが滞ってしまうことは目に見えています。

クレジットカードのキャッシングはただの「おまけ」

― クレジットカードが利益を出す方法は、リボ払い以外にないのでしょうか?たとえばキャッシングで儲けることは難しいのですか?

「クレジットカードもキャッシングでやっていける」と考えられていた時代もありました。

ところが、貸金業法の改正でグレーゾーン金利が撤廃され、状況が変わりました。

それまでクレジットカードのキャッシングは、金利を29%まで取っていたのに、20%以下に下げなければならなくなったのです。

さらに総量規制もはじまったので、個人の年収の3分の1以上のお金を貸すことはできません。

これで、クレジットカード業界におけるキャッシングの利益は完全に頭打ちとなってしまいました。

キャッシングで儲けていた消費者金融も、法改正のあおりを受けて次々に廃業していきましたよね...。

― 話がそれますが、キャッシングと言えば、同じようなものに「銀行カードローン」があります。最近は銀行カードローンでお金を借りる人が増えているようですが?

そうですね。銀行は貸金業法の対象外(総量規制の対象外)ですから、「カードローン」のような商品が次々と出てきています。

とくに三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行は、かなりカードローンに力を入れていますね。

この二つの銀行は、ATMの横に消費者金融の「自動契約機」と同じようなものを置いています。ここでカードローンの申込み受付をして、その場で審査・カード発行をしているのです。このやり方はほとんど消費者金融と変わりません。

― では、クレジットカードのキャッシングはどうでしょうか?

クレジットカードのキャッシングは、消費者金融や銀行カードローンと違って、あくまでもショッピングのカードについている「おまけ」という立場です。

メインの商品ではありません。

クレジットカードのキャッシングの限度額は多くてもせいぜい50万円くらい、ここから利益を得ようとは思っていないんです。

クレジットカードは、やはりリボ払いで稼いでいくしかないと思います(笑)。

インタビューを終えて

「クレジットカードは、新規入会者を増やしてなんぼの商品」

デパートや銀行、街頭など、クレジットカードの入会キャンペーンで、スタッフの人たちが必死になって勧誘する理由がよくわかりましたね。

また、クレジットカード会社のメインの収入源は利用者が支払う手数料とのこと。

リボ払いをさかんに勧めてくる理由はそこにあったんですね。

ユーザーの我々としては、「リボ払い専用カードということをあえて言わない」セールス手法もあるようなので、カードを作る際はよく確認しましょう。

クレジットカードの裏事情を心得て、賢く利用していきたいものですね。

さて、山川さんには、クレジットカードの審査の裏側クレジットカードを利用している人が、知らないと損しそうなことについてもお話もうかがっています。

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